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大雪山系「白雲岳避難小屋」宿泊とテント泊のための徹底ガイド

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白雲岳避難小屋 アイキャッチ

北海道大雪山系を縦走するなら必ず立ち寄る、いわば玄関口のような存在の白雲岳避難小屋。

避難小屋と野営(キャンプ)指定地の様子や利用方法、料金、水場、キャンプスペース、バイオトイレなど、2024年の最新情報をまとめました。

白雲岳避難小屋は、大雪山系「黒岳石室」と同様、夏山シーズン中は管理人が常駐している数少ない避難小屋です。

黒岳石室より難易度はやや上がりますが、テント泊に自信の無い人や、山で宿泊するのが初めてという人にもオススメの場所。変化に富んだ自然が味わえる、静かなる天上の世界が広がります。

ここをベースキャンプにして、高山植物が咲き誇る高根ヶ原や忠別岳、白雲岳など、数々の絶景スポットを味わい尽くすのもいいでしょう。

白雲岳避難小屋は2020年に建替え工事が行われました。写真は建替え後の新しい小屋です。

2024年 白雲岳避難小屋

混雑緩和、避難小屋としての機能維持のため、下記の内容で避難小屋及び野営場が運営されます。

  • 避難小屋は定員60名のところ25名程度に設定します
  • テントは最大80張程度。実際には50張程度で混雑します
  • 予約はできません
  • 5名以上での利用は基本的にテント泊をお願いします
  • 小屋宿泊予定者は、ホームページの宿泊予定フォーム、もしくは白雲岳避難小屋メールアドレス(hakuunkoya@gmail.com)へ申告します※宿泊予約ではありません!
  • 避難小屋が定員に達した場合に備え、小屋宿泊予定でもテントを持参するようお願いします。

詳しくは、白雲岳避難小屋ホームページをご覧ください。

 

2023年は白雲岳避難小屋付近にヒグマが頻繁に出没し、テントサイトが長期に渡り閉鎖になりました。ヒグマが確認されたときは、小屋からの外出も禁止され、水汲みも行けなければ、夜間のトイレも危険と隣り合わせです。また、写真を撮るなどのためにヒグマに近づく登山者がいた場合などは、避難小屋の利用もできなくなります。2024年もヒグマの動向に注意が必要。最新情報を入手してからお出かけください。

 

 

 

白雲岳避難小屋ガイド


旭岳、北鎮岳に次いで北海道で第3位の高さを誇るのが白雲岳。白雲岳避難小屋は、その南面の山腹にあります。

大雪山を数日かけて縦走する登山者は、必ず立ち寄る場所と言ってもいいでしょう。大きな縦走装備を背負った登山者や、ガイド率いる団体ツアー登山者などで、夏山シーズン中は常に賑わっています。

ピークは7月中下旬からの土日祝日。高山植物の最盛期には、避難小屋もテント場もほぼ満杯になります。

白雲岳避難小屋

 

白雲岳避難小屋の周囲には、荒涼としたガレ場の台地、ここでしか見られない固有種がそこここに咲き乱れる高山植物のお花畑、夏季も0°以下で凍結している永久凍土など、地球の営みをダイレクトに感じる世界が広がります。

板垣新道分岐

板垣新道分岐

高根ヶ原 ホソバウルップソウ

大雪山の固有種ホソバウルップソウの大群落

小屋が立つ場所は、近くにカール状の地形があることから、氷河で削り取られた岩石などが堆積したモレーン(氷河堆石)との説もあり、いっそうロマンを駆り立てます。

白雲岳避難小屋白雲岳避難小屋へのルートは赤岳経由と緑岳経由が一般的です。技術的にむずかしいルートではないものの、距離が長くなって少しだけ難易度が高くなった分、宿泊者数は控えめの印象です。総じて、大雪山を縦走する登山者の立ち寄りが多いといえます。

避難小屋は登山道をやや下ったところに位置するため、白雲岳をピストンする日帰り登山者がルートを外れて立ち寄る姿もあまり見られません。

ただし、周辺にはトイレがなく、稜線上の登山道は吹きさらしで天候が悪化したときに身を隠す場所がありません。もしものときのためにも、場所を押さえておくといいでしょう。

 

白雲岳避難小屋の基本データ

白雲岳避難小屋

場所白雲岳の東南東、白雲岳より道のり2km

標高1990m

山頂から避難小屋までの標準タイム(休憩なし)白雲岳山頂から50分

赤岳山頂から60分

緑岳山頂から50分

収容人員25人程度

テント80張(1人用テントを隙間なく張った状態の設置数。実際には50張程度で混雑します)

避難小屋宿泊協力金1人3,000円(登山道維持管理協力金1,000円を含む)

素泊まり、食事の提供、寝具のレンタルなし

テント泊協力金1人1,500円(登山道維持管理協力金1,000円を含む)
登山道の維持管理協力金1人1,000円(任意、日帰り登山者の方にも協力をお願いしています)
トイレあり
水場あり

※時期によっては水枯れの可能性あり

電波状況docomo利用可能、au利用可能、SoftBank不明

※2021年小屋内にdocomo、auの電波を増幅する装置が設置されました

※天気予報などの情報入手にはラジオを持参することをオススメします。NHKラジオが聞き取りづらいレベルです。

管理人常駐期間2024年6月22日(土)~9月下旬
問合せ先白雲岳避難小屋ホームページ

上川町役場産業経済課商工観光グループ01658-2-4058

※2024年6月1日現在の情報です

2020年に小屋の建替え工事が行われました。外観の雰囲気は以前の小屋とあまり変わりませんが、換気窓が多く、中は明るく快適です。

白雲岳避難小屋

キャンプ場でのテント泊も、ここで受付して料金を支払います。消毒液にマスクと、感染症対策も万全です。

白雲岳避難小屋 受付

2021年から、登山道の維持管理のため、登山道利用協力金(1人:1,000円、日帰り登山者も含む)が求められることになりました。あくまでも任意ですが、協力すると記念品がもらえます。それがこの手ぬぐい。数に限りがありますので、お早めにどうぞ。

白雲岳 登山道維持管理協力金

外壁にはソーラーパネルが設置されていました。通信手段を確保したり管理目的で使用されます。ほかにも、docomoauの携帯電波を増幅させる装置が設置されていました。これで小屋の中でも電波を受信しやすくなります。

白雲岳避難小屋 ソーラーパネル

避難小屋の中は非常に簡素で、必要最低限のものだけが備わっています。

白雲岳避難小屋

2階建てで本来の収容人員は60人ですが、混雑緩和と避難小屋機能の維持のため、25名程度の定員に制限されます。

白雲岳避難小屋 二階

パーティションが整然と設置されていました。

白雲岳避難小屋 二階

着替えスペースです。1階、2階それぞれに配置されていました。女性には嬉しい配慮ですね。

白雲岳避難小屋 着替えスペース

借景窓。こんな景色を見ながらのんびりできるなんて最高ですよね。

白雲岳避難小屋 2階からの景色

2階には、冬季出入りするための玄関ドアが設置されています。白雲岳避難小屋は1年を通して利用できます。冬は雪で1階が埋もれてしまうため、外のハシゴを伝って2階から出入りします。

白雲岳避難小屋 冬季の玄関

室内は禁煙です。火気取扱いには注意が必要です。ガスを使って調理する場合は、悪天候でもない限り屋外にあるテーブルとベンチを利用しましょう。ザックの中身を整えるのも、外のほうが他の利用者に気兼ねなくできます。

白雲岳避難小屋 屋外ベンチ

建て替えによって避難小屋の換気状況は飛躍的に向上したように見えます。ですが、濡れた雨具や衣類を乾かすのには限度があるでしょう。

2009年7月トムラウシ山で8名の登山者が低体温症によって死亡した事故では、前日に宿泊したヒサゴ沼避難小屋で濡れた衣類を乾かすことができず、翌朝濡れたまま出発して風雨にさらされたことが事故の要因の一つになったといわれています。

「濡れたら小屋で乾かせばいい」という考えでは危険ですね。速乾性素材の機能性の高い衣類を着用する、なるべく濡らさないようにする、着替えを持参するなど注意が必要です。

 

宿泊するにはどうしたらいい?

白雲岳避難小屋に宿泊するには、予約の必要はありません

避難小屋という性質上、来た者は拒まないのが原則です。管理人が常駐していますし、「宿泊を断られた!」「空きがない」ということは考えにくいでしょう。

そのため、混雑すればするほど寝る場所が狭くなることはあります。繁忙期にはお互い譲り合って気持ち良く利用したいものです。

白雲岳避難小屋 冬季出入口

とはいえ、土日祝日、お盆など、混雑が予想される時期は避けたほうがいいでしょう。どうしても、ということであれば、テント泊をおすすめします。

避難小屋では寝具のレンタルはありません。寝袋やマットは必ず持参してください。

なお、管理人が常駐する期間は夏の一定期間ですが、避難小屋は通年利用できます。積雪期にはハシゴを使って2階から出入りします。

 

小屋の管理

白雲岳避難小屋は、黒岳石室や忠別避難小屋と同じく上川町の管理下にあり、一定期間だけ管理人が常駐します。

白雲岳避難小屋

白雲岳避難小屋の管理運営を任されているのは、一般社団法人 大雪山・山守隊。ここから人員が派遣され、滞在して業務にあたっています。

売店などはなく、静かに登山者を迎えて送り出すだけ。絶え間なく登山者が訪れ、飲料水などを販売しているリゾート感あふれる黒岳石室とは、まったく雰囲気が違います。

落ち着いた環境で、山々を眺めながら静かな時をじっくり味わいたい人にとって、最高の居場所といえるでしょう。

 

 

キャンプ場ガイド

避難小屋のすぐ下には、野営(キャンプ)指定地があります。

大雪山国立公園内では、野営指定地以外での野営は禁止されていますから、緊急時を除き、テントをたてるときは必ず指定地を利用してください。

白雲岳避難小屋 キャンプ場

80張分の広く平坦なテント場です。学校の校庭のようにキレイに整地されているので、どこにテントを張ろうが当たり外れがありません。

白雲避難小屋 野営地

砂地のため、ペグは簡単に刺さりますただし、風などで抜けないようにしっかり打ち込むこと。場合によっては石で押さえるといいでしょう。

貸出用の大型ペグと金づちが置いてありました。

ここのテント場は斜面の中腹にあるため、下から斜面を上ってきた風が収れんし、時として突風が吹き抜けることがあります。

設営時には無風でも、いつ天候が荒れるか分かりません。横殴りの雨が降れば、ベンチレーションの穴から雨が侵入してテントが浸水することもあります。入口の向きや張り綱のテンションなど、入念にチェックして設営するようにしましょう。

白雲避難小屋 キャンプ場

フードロッカーが設置されていました。

白雲岳避難小屋 野営場 フードロッカー

フードロッカーとは、ヒグマを誘引しないように食料などを保管しておくものです。ヒグマが高密度に生息している知床連山では、各テントサイトに設置されていることで知られていますが、大雪山系で見るのは稀です。数年前から白雲避難小屋周辺にヒグマの出没が相次いでいることと関連しているのでしょう。

ピーク時にはテントが70張を超えることもあります。最大80張程度設営可能となっていますが、それは1人用テントを隙間なく設営した数であり、実際には50張を超えるとテント場はいっぱいになってしまうそうです。時期によっては早めに到着してテント場を確保するといいですね。

 

 

水場

水場は、避難小屋から20~30メートルのところにあります。ロープなどは設置されていませんが、水源には立ち入らないのがマナーです。

白雲岳避難小屋 水場

水源は雪渓の融水ですから、そのまま飲むことはできませんエキノコックス症予防のため、煮沸するか、浄水器を通して飲用してください。

白雲岳避難小屋 水場

ここの融水は、例年9月くらいには水枯れします。気象条件によってはいつもより早く雪渓が消えてしまう可能性も考えられます。水場の状況は事前に確認しておくといいでしょう。

融水がなくなっても沢で取水することができます。多少の苦労はするものの、ガスとストーブ、もしくは浄水器を持参すれば水の確保には困りません。

エキノコックスの卵は、60~80℃で5分、100℃では1分以内に死滅します。山では水の沸点が低くなりますから、飲料水を作る時は沸騰してもしばらく加熱を続けるようにしましょう。

 

 

バイオトイレ

小屋の脇にはトイレが併設されています。2つの個室があります。
白雲岳避難小屋 トイレ

トイレは以前のままで、建替えられていません。汲み取り式です。
白雲岳避難小屋 トイレ

数年に1度、ポンプなどで吸い上げてヘリで搬送し、下界に運びます。負担を軽減するために、糞尿以外、使用済みのティッシュも全て持ち帰ります。

白雲岳避難小屋 トイレ

北海道の山では、自分で持ち込んだものは全て持ち帰るのが原則です。白雲岳避難小屋のようなトイレがある場所は、道内でもほんのわずかです。必ず携帯トイレを持ち歩いてください。

 

 

気温と服装

北海道の山の気象条件は、標高をプラス1,000メートルして考えるとちょうどいいでしょう。

1900mに位置する白雲岳避難小屋は、本州の2900m程度の山岳気候に相当すると考えて服装や装備を準備しておきます。

 白雲岳避難小屋(標高1990m)付近の気温をみてみましょう。

気温(推定値)6月7月8月9月
最高気温9.7℃13.3℃12.5℃8.0℃
平均気温5.8℃10.1℃10.2℃5.1℃
最低気温-0.2℃5.6℃6.5℃1.4℃

参考:「白雲岳避難小屋(基準標高1990m)付近の気温」ヤマレコ

あくまでも推定値ですが、体感的にもほぼ間違いありません。風が強いと体感温度はもっと低くなります。装備に関しては、もっとも過酷な状況を想定しておくと安心です。

北海道の山では、7月でも低体温症で死者がでることもあります。真夏はとかく熱中症対策ばかりに意識が向いてしまいがちですが、同時に寒さ対策も万全にしてください。

厚手のフリース、ダウンの薄手のジャケットやパンツなどの防寒着は、常にザックに入れておきましょう。

9月9日赤岳登山口で見かけた登山者

9月9日赤岳登山口で見かけた登山者 毛糸の帽子をかぶっている

9月に入ったら、いつ雪が降ってもおかしくありません。2017年9月10日には、白雲岳山頂付近で初雪が舞ったとの報道がありました。紅葉狩登山には、冬用の帽子と手袋は必携です。

宿泊時の寒さ対策ですが、寒さの感じ方は男女差も大きく、テント泊なのか小屋泊なのか、どのくらいの広さに何人で寝泊まりするのかといった条件でもかなり違ってきます。

外気温がダイレクトに伝わるテント泊では、気温が氷点下まで下がったときのことを考えて準備したほうが安心です。

寝袋は最低でも-6℃(限界温度)グレードのダウン製。シュラフカバーも必要です。小屋泊ならもう少しグレードダウンしてもいいかもしれません。

シュラフカバーは寝袋を濡らさないようするだけでなく、防寒としての役割も果たします。

他にも、断熱効果の高いマットや防寒着を持参するなど、総合的に防寒対策を講じてください。

 

 

注意点

建て替え前の白雲岳避難小屋に貼られていた注意書きです。
白雲岳避難小屋注意書き

忠別・ヒサゴ・白雲避難小屋に宿泊される方はテントを持参しないと宿泊できないことがありますので 次の山行には小さなテントでも良いので次からは必ず持参ください

「避難小屋だから、来た者を拒まないんじゃない?!」と疑問に思われるかもしれませんので、北海道特有の山小屋事情についてお話します。

北海道には、本州にあるような設備の整った営業小屋はほぼありません。あるのは避難小屋。文字通り緊急時に避難する場所であって、宿泊を目的にするところではありません。そのため、山中で宿泊する場合はテントを持参し、食料や寝具も自分で担いで登るのが大原則なのです。

ところが、コロナ以前は残念なことに避難小屋を宿泊場所として当てにした団体ツアー登山が後を絶たず、時期によっては10~20名規模の団体が複数利用することもありました。

大人数の一団と運悪くかち合ってしまったら、避難小屋に「避難できないことがある」というのも、あながち大げさな話ではなかったのです。「すし詰め状態だった」「後から来た人があきらめて次の避難小屋へ移動した」など、どれも身近で聞いたことがある話です。

白雲岳避難小屋よりも大雪山の奥深くにある忠別岳避難小屋やヒサゴ沼避難小屋は、訪れる人も少なくなるため、施設の規模が格段に小さくなります。忠別岳避難小屋は収容人員が30名、テントは15張。ヒサゴ沼避難小屋は収容人員は30名、テントは30張。混雑していたら利用できない可能性は十分に考えられるのです。

今は感染症対策として混雑を回避する必要があります。天候の急変や体調不良で予期せぬ場所でビバークすることだってあるでしょう。そんな不測の事態に備えて、常にツエルト(簡易テント)や小型テントを持ち歩くことをおすすめします。    

参考:ツエルト活用法 

参考:北海道の山小屋事情                                        

 

 

周辺の景色

白雲岳避難小屋へ向かう道中で見た景色をお届けします。

ウラジロナナカマドの紅葉トンネル

ウラジロナナカマドの紅葉トンネル

深紅のウラシマツヅジ

深紅のウラシマツヅジ

奥の平からみた紅葉

奥の平からみた紅葉

赤岳山頂から見た雄滝の沢

赤岳山頂から見た雄滝の沢

赤岳山頂から見た白雲岳

赤岳山頂から見た白雲岳

小泉岳分岐への荒涼とした台

小泉岳分岐への荒涼とした台地では構造土が見られる

烏帽子岳(中央)と黒岳(左)

烏帽子岳(中央)と黒岳(左)

白雲岳山頂から火口の縁についた登山道を振り返る

白雲岳山頂から火口の縁についた登山道を振り返る

 

 

周辺の山

白雲岳避難小屋をベースキャンプにして楽しめる周辺の山々を紹介します。

白雲岳

白雲避難小屋からのガイドタイム:登り1時間10分/下り50分

白雲岳

北海道第3位の高さを誇る白雲岳。白雲避難小屋に泊るなら、朝飯前に登れる距離にあります。

火口の縁についた登山道を進み、直下の急な巨石ガレ場をのぼりつめた先にある頂上は、大雪山の内側から山々を望むことができる展望台。
白雲岳火口

近くには旭岳の後ろ姿、遥か遠くにはトムラウシや十勝岳連峰が望めます。
旭岳

 

赤岳

白雲避難小屋からのガイドタイム(白雲分岐経由):登り1時間10分/下り1時間

赤岳

1517mまで車で登れる初級コースとあって、多くの登山客が訪れるのが赤岳。大雪山屈指の紅葉の名所として、全国的にも名前が知られています。

赤岳紅葉

登山口からすぐの斜面は紅葉目当ての観光客も多い

白雲岳避難小屋から赤岳へ向かう途中、小泉岳山頂付近を通ります。月面世界のような広くて平らなガレ場は、山というにはあまりにもなだらかで、気をつけないとうっかり通り過ぎてしまうほど。

小泉岳

板垣新道分岐から小泉岳への稜線(右)は高山植物の宝庫

実はそこから緑岳への稜線は、高山植物の宝庫だということはあまり知られていません。ホソバウルップソウなどの固有種を観察するには穴場的なコース。

ホソバウルップソウ

板垣新道分岐のホソバウルップソウ

赤岳往復するときは、こちらのルートも通ってみるといいでしょう。

 

緑岳 

白雲避難小屋からのガイドタイム:登り1時間/下り50分

緑岳

ハイマツ塔の針葉樹が多いことから名づけられた緑岳。白雲避難小屋からは、あっという間の1時間コースです。

緑岳展望

緑岳山頂から見た高根ヶ原

展望の良い山で、白雲岳や旭岳、高根ヶ原、忠別岳、遥かにトムラウシまで望むことができます。

緑岳第一花園

緑岳 第一花園の高山植物の群落

花の時期に行くなら、山頂から更に先の第一、第二花園まで足を延ばし、群れをなして咲く高山植物を見に行くことをオススメします。

 

高根ヶ原

白雲避難小屋からのガイドタイム:往路50分/復路1時間10分

高根ヶ原

白雲岳と忠別岳の間の南北約7kmに渡る一帯が高根ヶ原。大雪山の奥座敷に続く長い一本道です。

高根ヶ原

忠別岳方面から見た高根ヶ原と白雲岳

東側は断崖絶壁の下に高原沼を望み、西側には永久凍土の台地と高山植物の群生地が広がります。

縦走しなくても味わえる大雪山の核心部。白雲岳避難小屋に泊ったら、ここに行かずして山を降りるのはもったいないですね。

 

忠別岳

白雲避難小屋からのガイドタイム:往路3時間30分/復路3時間50分

忠別岳

 ここを目指して来るよりも、縦走の途中に頂が踏まれることが多い忠別岳。

白雲岳避難小屋からはアップダウンはさほどありませんが、距離を歩くという意味でボリュームのある日帰りコースです。

忠別岳から高根ヶ原方面を振り返る

忠別岳から高根ヶ原方面を振り返る

忠別岳までのルートは、足元にはお花畑、顔を上げれば360度の絶景。美しい景色に誰しもが歓声をあげるでしょう。極楽浄土があるとしたら、こんな場所かもしれません。

 

三笠新道

白雲避難小屋までのガイドタイム:4時間40分

三笠新道

大雪高原温泉沼から高根ヶ原を抜ける三笠新道コースです。ヒグマが頻繁に出没するため、通行できるのは6月中旬~7月上旬だけ。幻の登山道とよばれています。

豪雪地帯の大雪山のなかでも最も積雪量が多いこのエリアでは、雪融けとともに春を待ちわびていた高山植物が一斉に芽吹き、残雪と沼が独特の景観を作り出します。

大雪高原温泉沼

もしもこの時期に白雲岳避難小屋を目指すなら、往路はこちらのコースをおすすめします。(三笠新道の下りはおすすめしません)

三笠新道

 

三笠新道
年に数週間しか通れない幻のルート「三笠新道~緑岳」登山ガイド 

三笠新道は、大雪山の高原温泉沼と高根ヶ原を結ぶ雪の回廊です。 通行できるのは、林道が開通して入山可能になってからヒグマが居つくまでのわずか数週間。幻の登山道とも呼ばれています。 豪雪地帯の大雪山のなか ...

続きを見る

 

いずれのガイドタイムも、「北海道 夏山ガイド」を参考にした「休憩なし」の標準ガイドタイムです。個人差がありますので、ご自身の経験や体力を加味して判断してください。

 

◆黒岳石室も詳しくレポートしています。

黒岳 石室
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参考

大雪山国立公園連絡協議会

「北海道 夏山ガイド」梅沢俊、菅原靖彦著 北海道新聞社

「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」羽根田治、飯田肇、金田正樹、山本正嘉 ヤマケイ文庫

 

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