
北海道・阿寒摩周国立公園の北端に位置する藻琴山。
日本最大のカルデラ湖「屈斜路湖」を眼下に、かなたに知床連峰をパノラマビューで楽しめるのが藻琴山の最大の魅力です。標高わずか1000mで、これほどの絶景が楽しめる山はそうありません。
この記事では、3つあるコースのうち、最も人気が高い「スカイライン遊歩道」を紹介します。
地元では誰もが知っている山ですが、道外での知名度が高くないのが以前から気になっていました。北海道の百名山巡りの合間に、ぜひとも足を伸ばしてください。
Contents
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藻琴山「スカイライン遊歩道」基本データ
コースは全部で3つ。
尾根歩きを楽しむ「スカイライン遊歩道」、片道30分の最短ルート「東藻琴側・登山道」、5つの遊歩道を周遊する「ロングトレイルコース」です。

出典:「藻琴山セルフガイドマップ」川湯エコミュージアムセンター
屈斜路カルデラトレイル
2024年10月、屈斜路カルデラトレイルというロングトレイルコースが完成しました。これにより、藻琴山から美幌峠まで足をのばすことが可能になりました。詳細は公式ホームページよりご確認ください。→KCT(Kussharo Caldera Trail)
なかでも人気なのが、これからご紹介するスカイライン遊歩道です。
| 標高 | 1000m |
| 標高差 | 275m |
| 距離 | 約2km |
| 標準タイム(休憩なし) | 登り1時間10分、下り55分 |
| 難易度 | 初級 |
| 水場 | なし |
| 山小屋 | なし |
| トイレ | レストハウス「ハイランド小清水725」の駐車場に公衆トイレあり 山中では携帯トイレを使用すること(携帯トイレブースは無し) |
| 駐車場 | ハイランド小清水725駐車場を利用 バス7台、乗用車36台 積雪期は道道から駐車場まで除雪されていない (例年4月下旬から除雪開始) |
| 山開き日程 | 6月の第1日曜日 通年で登山が可能 夏山登山に適した時期は5月~9月くらいが目安 |
| 問合せ先 | 小清水町観光協会 TEL:0152-67-5120 |
とくに魅力的なポイントを3つ紹介します。
屈斜路湖を眼下に望む眺望の良さ

ハイマツのトンネルを抜けると、目に飛び込んでくるのは屈斜路湖。尾根歩きは疲れも吹き飛ぶ絶景続きで、山頂まではあっという間です。
よく整備された登山道

登山道は笹が刈られ、歩きやすいようにしっかり整備されています。分岐には看板が設置され、地図読みに慣れていない初心者でも道迷いの心配がありません。
アクセスが良くトイレも完備された登山口

登山口は小清水町の施設「ハイランド小清水725」駐車場の一角にあります。立派な公衆トイレがあるので、登山のお悩み「トイレ事情」もひと安心です。
藻琴山「スカイライン遊歩道」ガイド
スカイライン遊歩道は、片道約1時間のなだらかな尾根歩きです。

【登り】1:10
登山口 ⇒ 屏風岩 0:45
屏風岩 ⇒ 山頂 0:25
【下り】0:55
山頂 ⇒ 屏風岩 0:20
屏風岩 ⇒ 登山口 0:35
※休憩は含みません
登山口は小清水町のレストハウス「ハイランド小清水725」の駐車場にあります。バス7台、乗用車36台が駐車できるこの施設は、景色を目当てに訪れる観光客も多く、トイレも完備しています。

標高725mに位置する駐車場からの景色も、藻琴山からの景色に負けず劣らず素晴らしい。斜里岳をはじめ、遠くには遠音別岳などの知床連山が見渡せます。

登りはじめはハイマツのトンネルくぐり。暑いときは蒸すので熱中症に注意してください。

歩き始めてから20分ほどの868m地点で、広場に差し掛かります。藻琴山を周回するロングトレイルコースと合流します。

かつて避難小屋があった広場からは、ハイマツ越しに斜里岳や屈斜路湖が望めます。風通しもよくて、ひと休みするのにもってこいの場所です。

斜里岳
標高800m付近には、日本一遅く咲くという「生涯の桜」が自生。5月下旬に訪れたときは、咲き始めたばかりでした。

生涯の桜(チシマザクラ)
尾根に取り付くと、周囲がぐるりと見渡せるパノラマビューが広がります。

右奥に見えるのは雄阿寒岳と雌阿寒岳
ゴツゴツとした岩が飛び出した屏風岩(940m)まで来たら、頂上はもうすぐです。周囲の斜面はお花畑。ハクサンイチゲの群落が見事です。

頂上目前で、最短コース「東藻琴側・登山道」との合流地点となる広場が出現します。テニスコート1面がすっぽりおさまりそうなほど広さ。昼食をとったり、休憩したりと有効に活用しましょう。

広場から少しだけ急な斜面を登ると山頂です。石碑のある頂上は狭く、数人立てるかどうか。達成感を味わったら後続の人に譲りましょう。

広大な湖と山々が織りなす絶景を堪能しながら、わずか1時間の程よい運動量で登れる藻琴山は、満足度がとても高い山。
周囲では、藻琴山が登山を始めるきっかけになった人も多くいます。ベテラン登山者のなかには「シーズン初めの足慣らしは藻琴山」と決めている人も。
地元では誰もが知る名峰です。
一年を通して登ることができるので、冬山初心者にもおすすめです。スノーシューや山岳スキー、スノーボードで繰り出せば、息をのむような雪景色に出会えます。

藻琴山登山の注意点
藻琴山登山で注意したいことを2つピックアップしました。
マダニ対策を万全に

スカイライン遊歩道の笹に覆われた場所ではマダニが発生しています。数年前に登ったときは、刺されて病院に行く羽目になりました。
マダニが媒介するウィルスには薬が効かず深刻な病気をもたらすことがあります。たかがダニ・・・と侮れません。
暑くても長袖長ズボンで肌の露出を抑えること。ディートやイカリジンを含有した虫よけスプレーを使うようにしましょう。
下山したら入浴して体にマダニが付いていないかチェックするのも忘れずに。
ザックやポーチなどの装備に付いたダニを家の中に持ち込んでしまい、数日経ってから刺された経験もありますので注意してください。
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死亡例も! マダニが媒介する感染症と予防策
登山で気を付けたいダニは、布団や衣類などに付着する屋内のダニではなく、屋外にいるマダニです。 日本国内には、命名されているものだけで47種類のマダニが生息するとされ、その多くは春から秋(3月~11月) ...
高山植物を大切に

藻琴山には、季節ごとにたくさんの高山植物が咲いています。
低温と強風にさらされる厳しい環境で生きる高山植物は成長も遅く、いちどダメージを受けるとなかなか回復しません。
うっかり足元の高山植物を踏み荒らしてしまわないように。写真撮影や景色を見るときに登山道を外れたり、ザックを下すときに押しつぶすことがないように配慮願います。