テント泊 山の栄養学

山ごはん作りの基礎知識

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登山 食事

山ごはんは、軽くて保存性が良い食材を使い、少ない水と少ない燃料で、パパっと手早く調理するのが基本です。

山ごはんの「食材選び」と「調理方法」のポイントを一挙紹介します。事故防止の基本ルールも必読です。

 

 

 

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食材選びの基礎知識

登山 食材

山ごはんの食材は、軽くて保存性が良いものを選ぶこと。包装を外すなど軽くする工夫も大切です。

 

アルファ米、フリーズドライを活用する

防災備蓄品として普及しているアルファ米やフリーズドライ食品は、山ごはんとしても優秀です。

軽量で、お湯を注ぐだけで食べられる手軽さに加え、暑い時期でも痛む心配がなく、山ごはんに求められる要素を全て兼ね備えた逸品食材。そのまま食べても美味しいですが、ひと手間加えればメニューのバリエーションが広がります。

日ごろは防災用に備蓄しておき、登山で使用したら補充して、賞味期限切れを防ぐローリングストック方式がおすすめです。

 

■防災用に備蓄している家庭が多いアルファ米。登山で使用したら補充して、いざというときの賞味期限切れを防ぎます。

 

 

乾燥やさいを活用する

乾燥やさいは、軽くて水に戻すだけの手間要らず。日常でもお世話になっている人が多い時短食材です。山でも積極的に取り入れましょう。

スーパーでも手軽に手に入りますし、ネット通販を利用すれば、キャベツ、ホウレンソウ、白菜などの葉物野菜を始め、ごぼうやニンジン、大根などの根菜まで、豊富な品揃えのなかから選べます。

おすすめは、数種類の野菜が入った乾燥やさいミックス。鍋やうどん、ラーメンなど、汁が多めのメニューに最適です。

 

■初日くらいは生野菜を食べたいけれど、2日目以降は乾燥やさいの出番です。

 

 

缶入りは避けて、パウチ入りにする

缶入りの食材はなるべく避けて、パウチ入りを選ぶこと。

グラム単位で装備の軽量化をはかる苦労も、重量のある缶詰が加われば水の泡です。使用後の缶の縁で装備が傷ついたり、ゴミ袋に穴が開いて残飯の汁が漏れるトラブルもよく発生するので、持ち帰りにも気を遣います。

昔は保存のきく食品といえば缶詰でしたが、今はパウチ入りやフリーズドライなど、軽量で携帯性の良い食材が目覚ましい進歩をとげています。替わりのきかない食材でもない限り、缶詰は避けて軽量化しましょう。

 

■テント泊の定番メニュー「ワカメ(乾燥)とツナのサラダ」でよく使うパウチ入りツナ。

 

 

包装は外して必要量を持つ

ビニールや箱などの包装などは、事前に外して少しでも軽くしておきます。持ち帰るゴミも減るので一石二鳥ですよね。

山に持っていくのは必要な分量だけ。ビニール袋やジプロックに入れて、メニューごとにまとめておくと便利です。調味料は、お弁当用の少量パックを利用したり、小さなボトルに詰め替えて必要量を確保します。

詰め替えボトルに醤油などの液体を入れると、気圧の関係で中身が漏れ出すことがあります。山に持って行く容器は、少々高くても、口がしっかり閉まる質の良いものを選んでください。

 

■飲料水ボトルで有名なナルゲンの調味料入れ。しっかりした作りなので安心です。

 

 

 

調理方法の基礎知識

登山食事

山ごはんは、少ない水と少ない燃料で、手早く作れるメニューが基本です。

 

水を無駄にしないメニューにする

水場の有無にも左右されますが、基本は「水を無駄にするメニューは除外」するのがルールです。

例えばパスタは、水を大量に使い、茹で時間も長くて燃料も食うので、本来なら除外メニューです。うどんやそうめんは「塩分を含んだゆで汁をどこに捨てるのか?」という環境面への問題も浮上します。

ただし、パスタなら「サラダパスタ」を使えば、少ない水で「煮切る」ことが可能です。塩分が入っていない「無塩うどん」なら、ゆで汁をそのままツユにすることができます。海藻サラダを戻したあとの水も、捨てずにスープに再利用しましょう。

食材や手順を見直して、水を無駄にしない工夫を重ねれば、メニューの幅は広がります。

 

■はくばくの無塩そうめんは麺の長さが18cmと短め。コッヘルで調理しやすいのも魅力です。

 

 

燃料をあまり消費しないメニューにする

最近はバーナーの燃焼効率が良くなっているので、燃料の消費に対してあまり神経質になる必要はありません。それでも、天候悪化による停滞など、不測の事態に備えて燃料の消費は極力押さえたいところ。

バーナーとコッヘルで作る山ごはんは、「沸かす」「煮る」がメインです。煮込み系は燃料の消費が大きいので、本来は避けなければいけないメニューになります。

でも、麺類なら「うどん」よりも茹で時間が短い「そうめん」にしたり、食材は出発前に「洗う」「切る」「茹でる」の半調理段階まで仕込んでおくことで、燃料はかなり節約できます。

お湯ですぐに戻る乾燥やさいやフリーズドライなどの省エネ食材も大いに活用しましょう。

 

■カレーだってフリーズドライ。レトルトカレーは重くて持っていく気がしません。

 

 

 

メニューに取り入れたい栄養素

おにぎり

日帰りなら何を食べてもさほど気になりませんが、数日間に渡る縦走ともなれば、食事内容はパフォーマンスに反映されていきます。

山ごはんは、炭水化物をしっかり摂取できるメニューを心掛けましょう。

炭水化物に含まれる糖質は、小腸で吸収されあと全身に運ばれて、筋肉が活動するときのエネルギー源になります。

糖質には大きく3種類(多糖類、二糖類、単糖類)ありますが、意識して食べたいのは、多糖類を多く含むご飯、パン、うどん、パスタ、餅、イモ類

体への吸収がゆっくりで、長時間持続するエネルギーになってくれる多糖類は、長時間激しい運動をする登山に欠かせません。

 

糖質代表的なもの体内への吸収速度含まれる食べ物
多糖類(ブドウ糖がたくさん連なったもの)デンプン、グリコーゲンなど比較的ゆっくりご飯、パン、麺類、いもなど
二糖類砂糖、麦芽糖など速いアメ、お菓子、牛乳など
単糖ブドウ糖、果糖など速いブドウ糖、果実、はちみつなど

 

注意したいのは、「炭水化物は体内に一定量しか蓄えることができない」こと。「こまめに」「適量」を食べ続けるのがポイントです。

◆関連記事:バテない体を作る登山の食事

 

 

片付けの基礎知識

トイレットぺ-パー

山ごはんの片づけには、トイレットペーパーが欠かせません。

というのも、第一に、山では水はとても貴重です。使用した調理器具や食器を、水で洗い流すことはできません。

次に環境問題。山には浄水システムがありませんから、地面に流してしまえば、調味料や残飯を含んだ水がそのまま大地に流れます。

加えて、野生動物との接触。臭いに引き寄せられた野生動物と不幸な出会いをしてしまうかもしれません。

だから、汁も全て飲み干して、食器にこびりついた残飯はふき取って、ゴミとして持ち帰るのが基本ルール。そこで活躍するのが、今も昔もトイレットペーパーです。

トイレットペーパーは、芯を外してペッタンコにし、雨に濡れてドロドロにならないようにビニール袋に入れて持ち運びます。

トイレでも使うし、何かこぼしてしまったときにも使うので、すぐに取り出せる位置に収納しておくといいでしょう。

持ってきたものは、すべて持ち帰るのが山のルールです。余談ですが、歯磨きさえも歯磨き粉を付けずに磨き、水で口をゆすいだらゴクリと飲み込むのが山屋の鏡です。

 

 

知っておきたい事故防止ルール

コッヘルに手を添える

ここで紹介するのは、指導者から教わったり、経験から学んだ事故防止ルールです。家で料理するのとはちょっと違います。

 

調理中はクッカーから目と手を離さない

風を受けた瞬間に火が付いたストーブが倒れたり、人とぶつかったはずみで事故につながることがあります。調理中は、バーナーやクッカーから目と手を離さないこと。そのためには、調理中に探し物をしなくて済むよう、最初にしっかりと準備し、整理整頓してから調理に取り掛かるようにします。

 

調理するのは1人、残りの人は動かない

複数人で調理する場合、各々が動くと事故のリスクが高まります。「手伝わないと申し訳ない」という気持ちは山では無用。調理担当者を1人決めたら、残りの人は手を出さないこと。手伝いが必要なときは、担当者が具体的な指示を出すようにします。

 

動くときは声をかける

複数人で調理する場合、誰かが動くときは「~取ります」「後ろ通ります」などと、必ず声を掛け合うようにします。とくにテント前室のような狭い場所で調理するときは、接触事故を避けるための声かけが重要になってきます。

 

 

テント内での調理は危険行為 

登山 テント泊

テント内での炊事は、事故を誘因する危険行為として、どんなテントメーカーでも禁止しています。

とはいえ、悪天候や厳寒期など、屋外での調理が不可能なときもあります。危険を承知でテント内で調理せざるを得えない場合もあり、必要悪として認識されているのが現実です。

かくゆうわたしも、テント内で調理をしたことはこれまで多々あり、その危険性については、身をもって経験してきました。

ストーブが異常燃焼してテントに火が燃え移り、命からがら逃げだしたり、お湯を沸かしている最中にコッヘルがひっくり返り、同行者が足に大やけどをしたことも。

テント内は間違いなく事故多発地帯です。やめておくことにこしたことはありません。

では、どこで調理すべきかといえば、もっとも理想的なのは屋外です。天気が良ければテントの外で調理します。

雨や強風で外で調理ができない場合は、テントの前室で行います。フライシートの下が開いていて空気が取り込まれていれば、酸欠になる心配はありません。

冬期にスノーフライで完全に外気をシャットアウトしているテント内で調理するときは、細心の注意が必要です。酸欠にならないように、入口とベンチレーターを開けて空気を循環させ、十分換気してください。

 

 

コッヘルとバーナーを基本とする限られた調理道具でも、工夫次第でメニューの幅は広がります。日ごろ、スーパーやコンビニで買い物するときも、山で使える食材や道具探しを怠らず、しっかりアンテナを張り巡らせておきましょう。計画から準備も含めて、山ごはんを楽しんでください。

 

■山ごはんの関連記事です。基本の調理器具について書いています。

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