家族で大雪山を3泊4日で縦走したとき、非常に役立った浄水器をご紹介します。これで飲んだ雪渓の融水は思わずうなる美味しさでした。
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エキノコックス症のリスクがあるから生水は飲めない
筆者の住む北海道では、川や湖、池などの生水を飲むことができないのはご存じでしょうか。湧き水だって疑ってかかります。
なぜなら、エキノコックス症に感染するリスクがあるから。
キノコックス症は寄生虫によって引き起こされる感染症です。内臓や肺などにのう胞を形成し、症状が出るまで潜伏期間が約10年。気づいたときには手遅れになる可能性もある恐ろしい感染症です。
ですから、北海道で登山中に安全な飲み水を確保するには、グレイルのような信頼性の高い浄水器を使用するか、数分間煮沸するのが常識です。
これまでも浄水器は使ってきたのですが、
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ソイヤーミニは超軽量でコンパクトなので、緊急時の飲料水確保には秀逸な商品です。日帰り登山でも常に持ち歩いています。
でも、一度に大量の飲料水を作るときは、圧倒的に能力不足なんですよね。とにかく時間がかかります。
待ちきれなくてパウチをギュッと押した仲間がいましたが、見事に破けてしまいました。
説明書にも書いてありますが、パウチに圧をかけるのは厳禁です。ろ過された水が自然に落ちてくるのを、ひたすら待つしかありません。
そんなんですから、これまでは縦走やテント泊で数名分の飲料水を作るときは、ガスストーブで煮沸していました。
ところがこれも、ボトルに注げる温度に冷めるまで一定時間かかります。それに、喉が渇いてすぐに飲みたいときには、熱い飲み物は厳しい・・・。
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買って正解!【グレイル】ジオプレスピュリファイヤー 710mL
そこで縦走に備えて新調したのがこちら。グレイル「ジオプレスピュリファイヤー」です。
決めてになったポイントは、ろ過能力が高く、操作が簡単スピーディーで、メンテナンスが楽だから。
家族3名分の飲料水を短時間で確保したいので、大きさは710mLにしました。
有害物質の除去率99.9%
購入するときに真っ先にチェックしたポイントは有害物質のろ過能力です。
ときにはオタマジャクシが泳ぐ水たまりから取水して飲料水を作るわけです。まるでサバイバルですが、自然環境は予測不能です。あるはずの雪渓がない、なんてことはザラ。
どんな水源からでも、安心安全な飲み水が作れる浄水器でなくてはなりません。我が子も飲みますからね。
グレイル「ジオプレスピュリファイヤー」は特許取得済みの浄水フィルター・カートリッジで、99.9%以上の微粒子や最近、ウィルス、化学物質を除去します。除去対象にはエキノコックスなどの寄生虫も含まれます。
なにせ目に見えないものを相手にするので、そもそもデータも含めて信頼性はどうなのか、という問題にぶち当たるのですが、モンベルが扱っている商品なので間違いない、との判断です。
操作が簡単スピーディー
次に重要視したのはろ過能力。750mL/8秒、5L/1分の能力があります。
ろ過スピードが速いからすぐに飲める。雪渓の融水を汲んでその場で飲んだら、冷たくて五臓六腑に染みわたりました。思わず声が出るほどの美味しさでしたね。
操作は 水を入れる⇒押す⇒飲む これだけ。
専門知識や複雑な手順を必要としません。水源に近づき、水を注ぎ、ポンプを操作するだけで綺麗な水を手に入れることができます。
水を作るのはひと仕事でして、まず、水場がテント場の近くにあるとは限りません。歩いて30分の雪渓まで行くとかザラです。
疲れていても、単純な操作であればミスしませんし、素早く浄水ができるのはポイントが高いです。
ちなみに、けっこうな力が必要です。子どもにもやらせてみましたが、満身の力を込めてポンプを押してました。
710mLボトルなら約8秒で浄水できるとうたってますが、力の弱い人はもっと時間がかかると思います。
フィルターカートリッジの取り換え目安がわかりやすい
ろ過時間が25秒以上になったらフィルターカートリッジの取替え時期。
これが他の浄水器と比べて断トツでわかりやすい!
たいていの浄水器は使用回数が書いてあるんですけど、いちいち数えてられないですよね。
このグレイル「ジオプレスピュリファイヤー」750mLボトルも、カートリッジ交換目安は回数でいうと350回。そんなに使用記録を残すなんて、考えただけで面倒です。
だから、「約8秒」でろ過できたのが、「25秒以上」かかるようになったら取り換え時期、というのは素晴らしく分かりやすい。
どんなに高性能な浄水器でも、メンテナンスを怠れば本来の性能が発揮できませんからね。
フィルターの取り換え時期に気づかないリスクがあったり、交換が面倒な浄水器は、最初の段階で購入候補から除外しました。
実際に使ってみて感じたこと
ドリンクボトルとしてそのまま使うことができるのは、なかなか便利だということを発見しました。他の容器に移し替えずに使えるのは楽だし、容器1つ分の荷物が少なくなります。
容器が頑丈でシンプルな形状なので、ザックの中で押しつぶされたり、部品が破損する心配をしなくていいのも良かったです。
ただし、頑丈な分、重量があります。1人で使うならウルトラプレスピュリファイヤ―500mLのほうがいいと思います。
性能はほぼ同じですし、小さくて軽い。一度に浄水できる量は少なくなりますが、何度も作ればいいだけです。
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ここでちょっと雪渓からの取水について補足しますと、
雪渓から取水する場合、流れてくる融水がなければ浄水器は使えません。時期によっては使えないこともある、ということは頭に入れておく必要があるでしょう。
縦走したのは8月のお盆時期ですが、早朝や夕方には雪渓の水は止まってしまいました。
融水がないときは、雪を集めてコッヘルに入れ、ガスとストーブで沸かして飲み水を作るしかありません。あとは沢や沼で取水するか、ですね。
比較検討した浄水器はMSR ミニワークスEX
さて、最終的に買う商品を決める前に、他の商品とも比較したので、それについても書いておきます。
それが「MSR ミニワークスEX」。
登山ギアブランドとして有名なMSRの浄水器です。信頼性はバツグンでしょう。
ろ過能力は1L/分。フィルターカートリッジ交換のインジケーターが付いているので、目視で交換目安がわかります。
性能的には申し分ないのですが、部品がいろいろ付いていて形状も複雑なので、ザックの中で押しつぶされたときに破損するリスクが大きそう、と判断。それでやめました。
浄水器はいろいろなメーカーから様々な商品が出ています。ありすぎて、正直選ぶのが面倒なくらい。
高性能の浄水器は値段も高くなりますが、グレイル「ジオプレスピュリファイヤー」は比較的低価格でコスパに優れていると思います。
以上、テント泊や縦走で飲料水を確保するときは、かなり役立つ商品だと思います。
色はカモブラック、コヨーテアンバーの2つ。
1人で使うなら、ジオプレスより一回り小さいウルトラプレスピュリファイヤ―(500mL)がおすすめです。
北海道の山に行く予定がある方はぜひご検討ください。