装備 子どもと登る コラム

特別な技術が要らないから全世代が楽しめる。スノーシューの魅力に今更ながら気づきました。

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スノーシューハイク KIRAWAY

家族そろってスノーシューデビューしました。特別な技術が要らないスノーシューは、年齢や体力差をあまり意識せずに冬のアウトドアを楽しむことができる秀逸なギアだと思います。

これまで山岳スキー一本で他には目もくれずにきましたが、今更ながらスノーシューの魅力に気付きました。年齢を重ねていったとき、スノーシューにダウンシフトして、よりゆとりのある冬山を楽しむのもいいかもしれません。

シーズンを振り返りつつ、感じたことを書いてみたいと思います。

 

 

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スノーシューは冬山のハードルを下げてくれた

スノーシューハイク 萬系内

スノーシューは、冬山のハードルを下げてくれました。

北海道の冬は、ほとんどの人が山岳スキーやスノーボードで山に入ります。ゲレンデのような整地されたバーンを滑るのとはワケが違い、高い技術が必要です。

スキー歴25年でスキー指導員資格を持つわたしは、さほど苦労することはありませんでしたが、たまにゲレンデで滑るくらいの人なら、思い通りに滑れるようになるまで少なくとも3シーズンはかかると思います。

大人でさえ、転びまくって体力を消耗し、1~2回で懲りてやめてしまう人も多いというのに、スキーを始めて間もない子どもを連れて山に入るのはためらいます。高い確率で山嫌いになるでしょう。

技術的な難易度の高さに加えて、冬山はハイリスクです。雪崩は一瞬にして命を奪うし、低体温症や凍傷などの寒冷障害も要注意です。体格の小さい子どもは低体温症になりやすいですからね。言うまでもなく、そんな過酷な環境の場所に子どもは連れていけません。

スノーシューハイク カラマツ林

でも、スノーシューハイクなら話は別。

スノーシューは特別な技術が要らないので、だれでもすぐに使いこなすことができます。近郊の低山やなだらかな平原を歩くハイキングするレベルなら、冬山のリスクをかなり軽減できます。自分のことで手一杯のゴリゴリの冬山とは違って、親の側に子どもをケアする余裕が生まれるメリットもあります。

これなら子どもを連れて行けます。

今までは、スノーシューはスノーボーダーが登りで使うか、樹林帯の密度が高くてスキーやスノーボードによる滑りが楽しめない山で使う、サブ的な位置づけのギアでした。山行に時間がかかるので、行ける山も限られる。スノーシューをメインにした山行は考えられませんでした。

ところが、家族みんなでスノーシューハイクに行くようになって、ダウンシフトした冬山の楽しみ方もいいなぁと思うようになりました。子どもに合わせた初心者コースを選んだので、体力差も気になりませんでした。幅広い年齢層が一緒に楽しめる冬のアウトドアって、そうないと思います。

 

特別な技術が要らない

スノーシューハイク モアン山

初めて行ったのは、丘のようなピークです。

子どもが無理なく冬山気分を味わえるように、緩やかな地形を選びました。もっと言えば、雪崩の心配がない場所であること、人里(道路や建物)からあまり離れていないことも条件に加えています。

ATLAS スパーク20 子供用スノーシュー

特別な技術が要らないスノーシューは、履いたその場で、だれでもすぐにハイクを始められるのがメリットだと思います。

初めてのハイクでアドバイスしたのは、脚の間を広くして歩くことだけです。最初はだんだん間隔が狭くなってきて、片方のスノーシューを踏んづけて転ぶこともありましたが、15分くらいでアッという間に慣れてしまいました。

技術の習得に時間がかかる山岳スキーに比べると、夢のようなギアです。

 

装備が少なくて済む

スノーシューハイク ストックで推進力を得る

装備が少なくて済むのも、スノーシューハイクの良さだと思います。

積雪が少なかったのでスキーのストックをそのまま転用。上手に活用して推進力を得ていました。

子どもの靴は普段履きのスノーブーツで、雪が入らないように夏用のスパッツを装着しています。ウェア上下、手袋、ヘルメット、ゴーグルも、すべてスキー用です。

妻もスノーブーツ以外は夏の装備で済ませました。ウェアはレインウェアの中にフリースなどを重ね着しています。

装備が少ないということは、担ぐ荷物も少なくなります。そろえる道具も少ないので、出費も抑えられます。家族分をそろえるとなると相当な出費を覚悟することになるので、これは我が家にとってはスノーシュー最大のメリット言ってもいいでしょう。

 

 

ちょっと冒険するくらいが丁度いい

スノーシューハイク 川を渡る

道なき道を行くというのは、何歳になってもワクワクしていいですよね。冒険気分を味わえます。

でも、これが本物の冒険になってしまうと恐怖心が勝ってしまう。「ちょっとだけ」というのがポイントなんだと思います。

アウトドアのプログラムは、個人の能力とプログラムの難易度が釣り合うことが重要です。簡単すぎて刺激がなくなると、集中力不足から事故につながることもあるし、挑戦する要素が多ければ不安と動揺がおきて、軽い事故が起こることがあります。

「ちょっとだけがんばって挑戦する」要素があること、緊急事態に対応できる「余裕」があるハイキングがベストだと感じました。

西別岳 摩周岳

雪が音を吸収するので、冬の山は驚くほど静かです。新鮮な空気を吸い込みながら歩くと、体が細胞レベルで喜んでいる気がします。

武佐岳

景色を堪能しつつも、冬山では頻繁に地図とコンパスで位置を確認しなければなりません。なだらかな場所は地形的な特徴にかけるので、実は地図読みが難しい。

あーでもない、こーでもない、とやっていくうちに、必要に迫られて上達していくのを実感しました。スキルアップしたいなら、バリエーションルートが最適だと思いました。

 

 

限界斜度は意外とゆるい

スノーシューには、2種類あることを知りました。

1つは登山用のスノーシューで、周囲のフレームや足の下の部分に鋸歯が付いていて、急斜面の登りに強いタイプ。

 

もう1つはハイキング用のスノーシューで、鋸歯の数が少なく、ゆるやかな地形を歩くタイプ。

 

我が家は全員ハイキング用タイプで、軽くて扱いやすく、値段も手ごろです。でも、ちょっと傾斜があると地面をとらえることができませんでした。ならば、とトラバースしてみましたが、横滑りしてかえって怖い

子どものスノーシューは需要がないのか選択肢がなく、モンベルで扱っているATLASのスパーク20を購入しました。

子ども用は鋸歯が短いので、より一層グリップ力に欠けました。登りでは滑って動けなくなり、下りでは怖がって腰が引けて転びまくる。限界斜度は大人以上にゆるいです。斜度に合わせてかかとが上がるヒールリフトもついていないので、平坦な場所を歩くことに特化している感じです。

子ども用スノーシュー 滑りやすい

急な斜面を避けるルートファインディングを心掛けましたが、それにも限界があります。そもそもハイキング用スノーシューなので、用途に適したアップダウンの少ないコースを選択するしかないでしょうね。

ただし、登山用スノーシューも万能ではないようです。急斜面やトラバースはこちらも苦手で、たぶんアイスバーンにも不向きだと思われます。ピークを踏むなら、ほとんどの場合、途中でアイゼンに履き替えることになるのだと思います。

他にもいろいろ気づいたことがあったので、スノーシューの特性や選び方、装備などについて、別途下記の記事にまとめまてあります。

 

 

特別な技術は要らない、でもそこはやっぱり冬山

親子でスノーシューハイク

子どもと冬山に入るのは、もっとずっと先だと思っていました。少なくともあと10年はかかるかなぁと。スノーシューは「やりたい」をすぐに可能にしてくれて、そんな空白を埋めてくれました。

身軽さにかけては、右にでるギアはありませんね。年を重ねて体力の衰えを感じたら、脚力を必要とする山岳スキーから、スノーシューに完全シフトしてもいいかもしれないと思ってます。そうすれば、冬山の寿命がちょっと長くなるんじゃないかな。

と、ここまで、良いことづくめのように書いてきましたが、そこはやっぱり冬山。特別な技術は要らないのはスノーシューの歩行に関してであって、冬山に関する最低限の知識や技術は必要です。

今年は記録的な雪不足で、笹にスノーシューが引っかかって足を取られることはあっても、ふわふわの深雪でズボッと埋まってしまうとか、ラッセルするのに体力を消耗することはありませんでした。本来なら、ある程度の歩行技術も必要になろうかと思います。

なかでも、とくに地図とコンパスによる読図技術は必須です。読図ができない人は、冬山に入るべきではないでしょう。ガイド付きツアーに参加するか、ベテランに同行してもらうのが最適です。

今シーズンは雪不足に始まって新型コロナ禍の外出自粛で思うように楽しめず、心が前つんのめりになったまま春を迎えてしまいました。ハイクに行けたのはほんの数回だけ。来シーズンは心置きなく楽しめることを願ってやみません。

 

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