
防寒テムレスを、北海道の冬山で1シーズン使ってみました。いかにも作業用という初代の青いテカテカ手袋から、ドローコード付きのアウトドア仕様に進化した防寒テムレスは、マイナス25℃の極寒でも十分に通用したことを報告します。
Contents
スポンサーリンク
アウトドアブランド「TEMRES」に進化した防寒テムレス

初代の青い防寒テムレス
防寒テムレスは、手袋専門メーカーのショーワグローブが作っている、内側にボアがついた厳寒期の作業用手袋です。
初代は1組1000円台で手に入る、いかにも水仕事用の青いゴム手袋でした。そんな見かけとは裏腹に、「冬山でも十分通用する」とアウトドア関係者の間でじわじわと注目されるようになっていきます。
アウトドアユーザーの評判の高さに気をよくしたメーカーは、続いて黒の防寒テムレスを発売。売り切れ続出のヒット商品となり、ほどなくして防寒テムレスはおしゃれなアウトドアブランド「TEMRES」に進化しました。
2019年12月、バックルとドローコード、カフ付きモデル「TEMRES 02winter」が登場。「もう水仕事用の手袋なんて言わせないよ」そんなメーカーのつぶやきが聞こえてくるような、本格的アウトドア「グローブ」に変貌をとげました。
当初は「まさかね」とその性能に半信半疑だったわたしですが、山仲間から北海道の冬山でも十分使えるとお墨付きをもらったこともあって、ようやく試してみようという気になりました。
結論を言うと、3850円(2020年当時)で購入した「TEMRES 02winter」の実力は、期待を裏切らないものでした。
テムレス カフ付の特徴
最新モデル【防寒テムレス カフ付】の特徴(メーカーによる)です。
薄く、軽く、疲れにくい
透湿性と防水性を兼ね備えたポリウレタンを採用し、軽量化を実現しました。薄くて軽いので、疲れにくく作業性に優れています。
防水という点では、ゴム手袋に匹敵する安心感があります。弱層テストや装備の雪を払うときなど、直接雪に触れるのをためらうことがありません。
ボアタイプの裏起毛
内側にやわらかいボアタイプの裏起毛を施し、保温性を高めています。
冬用グローブでいちばん重要なのが防寒性能です。この点に関しては、この値段で手に入る手袋としては考えられないほど優れていると思います。
柔らかい
ポリウレタン製のため、マイナス60℃の環境下でも柔軟性を保ちます。
確かにマイナス25℃の山中でも、手袋はやわらかくて手先の細かい動きを妨げることはありませんでした。
防水なのにムレにくい
透湿性と防水性を兼ね備えたポリウレタンを採用。ムレにくく、快適にお使いいただけます。
わたしは手袋の中が汗で濡れることはありませんでしたが、山行の強度や体質にもよるでしょう。過信はできないと思います。
感想と注意点
ここからは、自分で実際に使ってみた感想と注意点です。
防寒性

マイナス25℃、6時間の山行でも問題なく使用することができました。
内側には全面ボアがついています。薄手で頼りない感じがしますが、予想外に暖かくて、肌触りも悪くありません。
これまで手袋は2枚重ねにしていました。アウターにはゴアのペラペラ手袋、インナーはフリース製が基本で、寒さが厳しいときや風が強いときはアウターをバルカン星人みたいなミトンに変更します。
当然テムレスもインナー手袋をする前提で大きめサイズを購入したかったのですが、販売されている最大サイズはLLまで。手の大きいわたしは素手に装着することになりました。それでも今のところ問題はありません。
寒さの感じ方は個人差が大きいので、いきなり厳寒期の冬山で使うのはやめたほうがいいでしょう。徐々に厳しい環境へと試してみることをおすすめします。
透湿性
汗で手袋の中が濡れることはありませんでした。
ただし、どんなに優れた手袋でも、激しい運動をすれば汗をかいて手袋内部が濡れてしまいます。体質的に手に汗をかきやすい人もいるようです。テムレスの透湿性能の限界はあるはずで、過信は禁物です。
冬山登山で怖いのが凍傷です。凍傷になりやすい場所には手足の指、鼻、頬、耳があげられますが、経験上、圧倒的に手の指先が多いです。
凍傷は気温の低さと寒さにさらされている時間により決まりますが、濡れたものに触れているとさらに加速します。
まずは、冬山では汗をかかない程度の運動強度を保つことが重要です。そして手袋は常に予備を持ち歩いて、濡れたらすぐに取り換えること。このルールは冬山の大原則で、テムレスだろうが何だろうが有効です。
※汗かきの家人は、濡れを防ぐためにインナーにラテックス手袋や極薄手袋をしています。
防水性
防水性にはゴム手袋並みの安心感がありました。これには表面のポリウレタンコーティングに加えて、ドローコードの存在が大きく貢献していると思います。
登山中は何かの拍子に手袋の中に雪が入ることも考えられます。内部が濡れしまうと、凍傷のリスクが各段に高まります。初期の防寒テムレスは手首が切りっぱなしで、そこがいまいち使う気にならなかった要因でした。
ドローコードで手袋の口を縛ることができるようになったことで、他の冬用グローブとそん色ないレベルになったと感じます。
ですので、防寒テムレスにはカフとドローコードの付いていないモデルもあるのですが、価値が半減するとお伝えしておきます。
また、手袋選びばかりに目が行きがちですが、手袋を飛ばされたり落として紛失するリスクにも同じくらいの熱量で対処すべきです。手袋を失ったら、山行中止どころか、遭難する可能性もありますから。
わたしはドローコードに流れ止めのリューシュコードを取り付けています。わずか数百円の保険です。
操作性
山岳スキーのシール脱着、ビンディング装着、ザックの開け閉め、モノの取り出しはもちろん、アイゼン装着や一眼レフカメラの操作、ボールペンでメモを書くといった細かな動作も支障なくできました。
操作性を向上させている要因のひとつは、低温下でも手袋本体がやわらかいこと。マイナス25℃でも硬化せず、いつも通り指を動かすことができて、力の入れ具合も街中にいるときと変わりありませんでした。
もうひとつはグリップ力の高さ。表面のポリウレタンには滑り止めの効果があるそうです。モノをつかみ損ねたり、落とすことはありませんでした。
反面、グリップ力がありすぎて、ウェアなどの素材に触れると滑りが悪くてひっかかるのが煩わしいときもありました。ときには、重大な事故を誘発する危険性もあるようです。
回転体を伴う作業(ボール盤・面取り盤等)には使用しないでください。手が巻き込まれるおそれがあります。
メーカーの使用上の注意にはこのような記載がありました。ロープの操作、クライミング器具の取り扱いには注意が必要です。
価格
これほど優れた手袋が3850円(2020年当時)でした。コストパフォーマンス抜群です。
品質と価格は比例する。これが登山装備の不文律です。安いということは「過酷な環境での使用には耐えられない」。山岳関係者はそう考えます。
そんな常識を覆したのが防寒テムレスでした。
気になっているのは耐久性ですね。コストダウンの結果がもっとも顕著にあらわれるのがこういうところです。
5シーズン使っていますが、今のところベタつき、ひび割れはありません。どのくらいで劣化してくるのか、注目しています。
サイズ
サイズは小さめです。一般的な冬山グローブより、2まわりほど小さく感じます。
愛用している他の冬山グローブはL~XLサイズですが、それでも中にフリースのインナー手袋を装着して、2枚重ねで使用できるだけのゆとりがあります。
作りが小さめのテムレスなら3Lが欲しかったですね。LLまでしか販売されていないので、しかたなく素手に装着しています。
冬山では手袋はアウターとインナーの2枚重ねがスタンダードです。繊細な作業をするときにアウターを外すことが稀にありますが、凍傷のリスクがあるので、決して素手になることはありません。
なので1枚使用ではなく、サイズは1~2つ大きめを選び、インナーと2枚重ねするのが理想だと思います。
余談ですが、中にボアが付いているので、洗濯すると乾かすのが大変です。完全に裏返さないと、いつまでたっても乾きません。
| サイズ | 製品寸法 | ||
|---|---|---|---|
| 全長 | 手のひら まわり | 中指長さ | |
| M | 32.0 cm | 21.5 cm | 7.8 cm |
| L | 32.5 cm | 24.5 cm | 7.8 cm |
| LL | 33.0 cm | 26.5 cm | 8.3 cm |
参考:ショーワグローブ
冬山グローブの1つの選択肢だと思う
ドローコードが付いたテムレス カフ付は、冬山グローブの1つの選択になります。
マイナス25℃の極寒でも問題なく使用することができましたし、湿った雪にも強いです。むしろ「寒くて雪が湿っている」状況下が、防寒テムレスの実力が最大限発揮されるときだと思います。
弱層テスト、テントの設営、ラッセルなど、雪に直接触れるときのために、常にザックに入れておきたい装備です。
安価なので、冬山装備がそろっていない人にはエントリー用としてもおすすめです。スキー用の手袋で代用する人がいますが、スキーグローブは防水性が高くないので、こちらのほうが断然いいと思います。
懸念している耐久性は今後の課題としておきます。劣化が確認されたら、除雪用手袋に格下げしたいと思います。
