計画

登山初心者のための山岳保険の選び方

更新日:

遭難救助は無料ではありません。

場所や緊急度に応じて、警察や自衛隊が出動することもあれば、地元の民間救助隊が捜索することもあります。

基本的に公的機関による救助や診察を受けた場合は費用を求められることはありませんが、民間の場合は費用が発生します。

救助隊なら日当や食事などを含めると一人当たり平均4~5万円、民間ヘリコプターを要請したときの目安は1分1万円とも、1回飛ばすと60~100万円ともいわれています。

保険に入っていなければ軽くひと財産失います。そんな出費に備えることができるのが、山岳保険のが最大の特徴です。

年間で数千円程度で加入できるのですから安いもの。必ず加入しておきましょう。

メモ

【自治体の防災ヘリ全国初の有料化 】

埼玉県では、平成30年1月1日より、県防災ヘリコプターによる救助を受けた場合に手数料を徴収することを決定しました。

手数料は5分間の飛行で8千円。1時間で9万6千円となる。(2025年12月5日現在
※過去の平均救助時間は1時間程度
燃料費の実費に相当

対象地域は、雲取山の山頂から水平距離3km以内、ロッククライミングが盛んな日和田山の南麓の男岩から水平距離100m以内など。
参考:埼玉県ホームページ

 

 

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山岳保険って何?

山岳保険とは、基本的に普通傷害保険に登山者向けの特約保険をつけたものです。特約の中でもいちばん重要なのが、遭難救助費用が含まれている点です。

注意したいのは、遭難事故のすべてを補償するものではないということ。ケガや事故の『原因』は何だったのか、それによって費用が支払われないことがあるのです。

傷害保険の基本条項として「急激かつ偶然な外来の事故」という条件があります。既往症、高山病、心筋梗塞、低体温症など、病気を原因とするものによる遭難はこの条件には当てはまらず、多くの山岳保険では補償対象外になります。

たとえば「凍傷によって動けなくなった」は支払の対象にならず、「雪崩や滑落などが原因で動けなくなり凍傷になった」なら費用が支払われます。

警視庁によると、令和6年の山岳遭難は、道迷い(30.4%)、滑落(17.2%)、転倒(20.0%)、病気(7.6%)、疲労(10.2%)、その他(14.6%)となっています。

多くの山岳保険で適用されない病気と疲労が上位に入っていることに、特に中高年は注目すべきです。

保険を選ぶ際には、補償の内容をよく確かめてから加入するようにしましょう。

 

メモ

どこで遭難したのか分からない人を探すのが、いちばん費用がかかります。捜索が長引けば民間救助隊に依頼することになり、高額な費用が発生するからです。

遭難者が見つからない場合は「死亡」ではなく「失踪扱い」となることも、意外と知られていない落とし穴です。死亡認定は失踪宣告を受けてから最長で7年かかります。それまで、残された家族は生命保険金は受け取れず、住宅ローン返済も免除されません

山岳保険の障害死亡保険金や捜索救助費用なら、「明らかに登山に出掛けたこと」「捜索活動がなされたこと」がわかれば、給付にそれほど時間がかかりません。

 

 

山岳保険の種類

現在は様々な山岳保険が販売されていますが、大きく分けて次のような種類があります。

①使用する用具の違い
・ハイキングやトレッキングなど、アイゼンやピッケル等の登山用具を使用しない軽登山
・アイゼン・ピッケル・ザイル等を使用する本格登山

②補償内容の違い
・一般的な傷害保険に遭難・救助費用が含まれている総合型保険
・遭難・救助費用のみ補償する特化型保険

③遭難原因の違い
・疾病を原因とするものは補償対象外
・既往症や熱中症、低体温症など、疾病が原因の遭難も補償対象

④補償期間の違い
・短期
・年間もしくは複数年の長期

 

 

代表的な3つの保険

(2020年2月時点筆者調べ)

モンベル

スポーツメーカーのモンベルのアウトドア保険は、ケガを対象とした一般的な傷害保険に遭難救助費用が付いた標準的な保険です。疾病を原因とする遭難や事故は補償対象外となります。

最大の特徴は、1泊2日などの短期補償タイプがあること。

 

短期補償

用具による違い名称保険期間保険料
ピッケル等なし野あそび保険1泊2日から6泊7日まで250円~
ピッケル等あり山行保険1泊2日から6泊7日まで1,000円~

長期補償

用具による違い名称保険期間保険料
ピッケル等なし野外活動保険1年、3年、5年3,460円~
ピッケル等あり山岳保険1年、3年、5年6,630円~


WEBサイトから申し込み可能です。必ずしも会費を払ってモンベルクラブ会員になる必要はなく、通信販売利用などでIDとパスワードを持っていれば誰でも加入できます。

翌日から1か月先まで保険開始日を選べるのが嬉しいポイント。余裕をもって手続きできるので、保険手続きの「うっかり忘れ」を防ぐことができます。

疾病による事故や遭難は補償の対象外ですので、どちらかといえば若い世代に向いている保険だといえるでしょう。

年に数回しか登らないという方や、人に誘われて初めて登るが継続するかどうか分からないという方にも、手軽で使い勝手のよい保険です。

~こんな人におすすめ~

  • 登山は年に数回だけ(短期補償)
  • ウェブで簡単に手続きを完了したい
  • 病気の心配があまりない若年層
  • 死亡保険金や入院・手術などの補償を手厚くしたい

出典:モンベル

 

ココヘリ

ココヘリとは、登山者が携行する専用発信機の電波を使い、遭難時に民間のヘリや捜索隊が迅速に位置特定・捜索を行う会員制サービスです。

ココヘリが手配する提携民間のヘリ・ドローン・地上部隊による捜索を最大約550万円相当まで実施し、早期発見と救助につなげることを目的としています。

【補償・提携対象】

  • ヘリによる電波受信・捜索活動
  • ドローン・地上部隊の捜索
  • 発信機(GPS/無線)を用いた位置特定支援

※ 会員は自分で捜索費用を立て替える必要がありません。

医療費や治療費、死亡保険金そのものの補償は基本的に行いませんが、一部プランには補償が付帯しています。

入会金は初回のみ 3,300円(税込)、プランは3つあります。(発信機の送料別)

ベーシックプラン6,600円/年出動手配・個人賠償(最大1億円)・用品補償(最大3万円)など基本サービス
GPS+プラン13,200円/年ベーシック+GPS位置情報共有機能あり
SUMMITプラン18,700円/年GPS付き+傷害・入院・死亡補償など付帯保障が充実

現在、わたしは妻とともにベーシックプランに加入しています。

山で遭難したとき、もっともお金がかかるのは行方不明です。もちろん早期発見を期待しますが、最悪のケースでも家族に迷惑をかけたくない。だから発信機で自分の居場所を知らせてくれるココヘリに加入しました。道警と連携をとっていることも安心材料になっています。

これまで提携民間のヘリ・ドローン・地上部隊による捜索のみ補償していたココヘリですが、最近、対象外の捜索救助費用(例:遭難対策協議会などによる活動費)を 最大30万円まで補償する保険がでました。ココヘリ捜索・救助費用ほけん「ONE(ワン)」です。

北海道では民間より道警などの公的機関の捜索が主です。ですので、この保険はありがたい。会員向けオプションで無料です。自らが手続きしないと適用されませんので、ココヘリに加入したら、忘れずに手続きするようにしてください。

~こんな人におすすめ~

  • 補償は遭難救助費用だけでいい
  • 遭難しても早期発見してほしい
  • 行方不明扱いになって家族に迷惑をかけたくない

出典:cocoheli.com

 

日本山岳協会山岳共済会

この山岳遭難・捜索保険は、「登山コース」のみ既往症に関係なく疾病が原因での遭難が補償の対象になるのが最大の特徴です。

もうひとつの「ハイキングコース」は補償対象外ですので、「登山中、脳卒中で岩場から転落した」などは補償されません。

道具による違い名称保険期間保険料
ピッケル等なしハイキングコース4月1日から1年間3,520円~
ピッケル等あり登山コース4月1日から1年間5,360円~


年会費は1,000円です。途中加入の保険料も別途制定されていますが、保険始期日を自由に決めることはできません。

現在の登山ブームを支えているのは50代~70代で、病気による事故や遭難のリスクが見逃せない年齢層です。

この年代には、アイゼンやピッケルなどの登はん用具を使わない山行スタイルだとしても、疾病による補償も対象とし広く補償がついた「登山コース」がおすすめです。

※保険料が手ごろな「日常生活賠償」の補償がないタイプもあります。

~こんな人におすすめ(登山コース)~

  • 中高年
  • 持病がある
  • 死亡保険金や入院・手術などの補償を少しだけ上乗せしたい
  • 山で何かあったら全てまかなえるようにしたい

出典:日本山岳協会 山岳共済会

 

ここまで代表的タイプの山岳保険を3つ紹介しましたが、ひとくちに山岳保険といって様々で、それぞれにメリット・デメリットがあるのがお判りいただけたと思います。

山岳保険に入る前に、まずは自分の加入している生命保険、傷害保険などを総ざらいして内容を確認してみてください。

最近ではクレジットカードに傷害保険がついていることがよくあります。気づかずに何らかの保険に加入しているかもしれません。

そのうえで必要な補償は何かを考えると、自分に合った山岳保険が見えてくると思います。

また、年月の経過とともに、健康状態や扶養家族の有無などのライフスタイルが変化することを忘れてしまいがちです。

一度決めたらずっと…ではなく、生命保険と同じように山岳保険も定期的に見直しをすることをおすすめします。

 

◆山岳保険はこちらの記事もどうぞ。

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