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ストック(選び方/メンテナンス)

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登山用ストック ダブル シングル今では山の標準装備になりつつあるストック(トレッキングポール)。

足への負担を腕に分散させることができるのですから、楽にならないわけがありません。膝に不安のある人や、中高年にとっては脚力の低下を補う道具として必需品です。

急な斜面の登りでは脚力を補強し、下りでは着地の衝撃を和らげてくれます。沢の渡渉など不安定な場所でバランスをとるのに重宝しますし、スキーのストックのように漕ぐことで推進力にもなります。登山をするなら、ひとつは持っていたい登山装備のひとつです。

ストックの種類や選び方、メンテナンスについてまとめました。

 

 

グリップ(握るところ)の種類

グリップは、スキーのストックのようなI字型、杖のようなT字型に分かれます。

I字型は1本または2本で使い、T字型は1本で使われることが一般的です。どちらを選ぶかは、好みが分かれるところ。アグレッシブかつバランスをとりやすいのはI字型です。

最近では2本で使用するのが主流になってきています。1本で使用するより一層バランスがとりやすくなり、脚力を補う上でも左右のバラつきがなくなります。

ただし、上半身の筋肉は下半身と比べて強くありません。使いこなすにはそれなりの筋力と体力が必要です。

一方、足腰が弱い方の補助的な使われ方が多くみられるのはT字型です。上から握りやすく、体重を預けやすくなっています。1本ですから、左右交互に持ち替えることで腕の疲れが軽減されます。

ストック全般に言えることでもありますが、体重を預けて頼りすぎてしまう傾向があります。一方の手首に負担がかかること、転倒につながる危険性が指摘されていますから、注意が必要です。

グリップの形状の他にも、ラバーやコルクなどのグリップに使われている素材にも注目してください。

雨天時や汗をかいた手でもしっかりと握れると、使い勝手が一段と向上します。グリップの大きさも、自分の手の大きさに合った握りやすいものを選ぶようにしましょう。

 

 

2本と1本どちらがよい?

最近の主流は2本です。身体の負担を考えるとやはり2本に軍配があがります。

2本はバランスがとりやすい反面、両手が塞がる、腕力や体力を必要とするので疲れやすいという欠点があります。

登山用ストック ダブルI字グリップ 木道を歩く

1本は腕が疲れたら持ち替えられますが、利き腕側ばかりになりがちです。そうなると、足への負荷も一方に偏りがちになります。

登山 シングルT字グリップストック

T字型は一本使いが多い

スキーやノルディックウォーキングをしている人は、ストックを2本持つことに違和感を感じないでしょう。

こういったスポーツの経験がない人にとっては、高齢者が使っている姿を街でよく見かける1本ストックの方が抵抗感が少ないかもしれません。

使用感も含め、好みや経験などによる個人差が大きいところです。実際に試してみるしかありません。

 

 

ショックを吸収する機構

最近のモデルは内部にスプリングが内蔵されており、ショックを吸収することができます。

登山 ストック スプリング 衝撃吸収システム

ストックを突くとき、1回1回の衝撃はそれほど大きくありませんが、山行では何千回、何万回と繰り返されて負荷が蓄積されます。

また、重たい荷物を背負っているときは、体を預けたときに手首にかかる負担も相当なものになります。

ショックを吸収する機構が付いていないストックと使い比べてみると、手首に問題を抱えていない人であっても、負担が軽減されたことを実感します。

若干高価になりますが、ショック吸収機構が付いているストックをおすすめします。

 

 

長さを調節する機構

山では登りでストックを短く、下りは長く調整します。ガレ場や岩場ではストックを短くしてザックに収納します。

このため、ストックには長さを調整する機能があるものがほとんどです。

おすすめは、ストッパーが1か所の2段式、2か所の3段式のもの。

登山 ストック ストッパー2か所

後者のほうが収納時にコンパクトになりますが、重量増や壊れる個所が増えるデメリットがあります。

ストッパーの種類も、ねじ式とレバー式があります。

ねじ式は単純な構造で壊れにくく信頼が厚い反面、締めるときに力が要ります。

レバー式は操作が簡単ですが、プラス・ドライバーでネジを回し締まり具合を調整する機構となっていますので、登山前の点検調整が重要になります。

 

 

女性向きのストック

登山 ストック レバー式ロック

女性には、レバー式のストッパーをおすすめします。

ねじ式は女性の力では強くしめることができず、登山の最中に短くなってしまうことがよくあります。

いったん強く締めてしまうと、今度は緩めることができない事態も発生します。

更に、グリップが小さめで女性の手でも握りやすいタイプを選びましょう。

 

 

おすすめトレッキングポール3選

登山やスキーなどでよく目にするメーカー3社のおすすめストックを紹介します。どのメーカーもトレッキングポールでは定評があり、間違いのない商品です。

 

レキ マカル―ライトAS

定番の伸縮式モデルです。アンチショックシステム搭載で、衝撃を吸収して手首への負担を軽減します。シャフトには腐食に強いアルマイト加工が施されています。

レキ(LEKI) マカルーライト AS
レキ(LEKI)

サイズ66.5~130cm

重量約462g(1ペア)

 

ブラックダイヤモンド トレイルプロショック

フリックロック(レバー式)にショック吸収機構を追加したモデルです。パウダーバスケットを装着することができるので、冬も兼用することが可能。スノーシューをする人おすすめです。女性用モデルもあります。

サイズ95~125cm

重量572g(1ペア)

 

シナノ テレイン125 A/S

長さ固定がワンタッチで行えるレバー式なので、力の弱い人に向いているモデルです。アンチショック機能付き。グリップの下にもアンダーグリップがついているので、登りで短く握りたいときに便利。スノーバスケット装着可能です。長さが短いモデルテレイン115 A/Sもあります。

サイズ100~125cm

重量約524g(1ペア)

 

 

メンテナンス方法

ストックはアルミ合金製がほとんどです。軽いカーボン製もありますが、高価で折れやすく、あまり一般的ではありません。

アルミ合金には、白さびとよばれる表面の腐食が発生します。鉄の錆ほど顕著ではないので気づきにくく、それが錆びだと知らない人も多いようです。

登山 ストック アルミ白さび

シーズンオフで使っていないときは、内部に白さびが発生しないように気を付けましょう。

時間をかけて徐々に腐食が進む白さびはとても頑固です。

固着してスムーズに長さ調整ができなくなったり、逆に白さびが粉状になって滑り、ストッパーが効かず固定できなくなることもあります。

登山 ストック 白さびがついた状態

雨天使用のあとやシーズンオフで長期保管の際は、ストッパーを緩め、分解して内部を水洗いし、十分に乾燥させます。

登山 ストック メンテナンス 水洗い

登山 ストック メンテナンス 乾かす

グリースやシリコンスプレーなどを使用するとストッパーが利かなくなってしまいます。たとえ白さびが発生してもこのようなケミカルは使用せず、拭きとるなどして物理的に取り除くようにしましょう。

 

ストックの使い方について知りたい方は、こちらをどうぞ。

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レクタングル(大)336×280




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