トラブル 子どもと登る

登山に潜む危険「子どもの事故を予防する5つのポイント」

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子どもの登山教室子どもは慣れない環境に置かれると、普段と全く違う様子を見せることがあります。

はしゃいで悪ノリしてみたり、走って登った挙句にバテてしまったり。特に小学生高学年の男児は、そういった傾向が強い印象があります。

何もなければ「元気がいい」で済みますが、目が届かないくらい先に行って、道迷いしたり滑落する遭難事故が実際に起こっています。

子どもと山に登るとき気を付けたい事故と、予防策についてお伝えします。

 

 

1.安全の確保は大人の責任

子ども 登山 安全確保

複数の子どもを引率するような登山では、我先にと歩きたがる子が必ずいます。困ったことに、中には走り出す子もいます。

特に好奇心や探検心に溢れ、負けん気の強い小学校高学年の男児に多くみられるこの現象。「元気がいい」では済まされません。

先に行ってしまったり、隊列が乱れて間隔が開いてしまったことにより、道に迷って遭難する事例がたくさん起きていることは報道などでご存じの方も多いでしょう。

一本道で道迷いなどあり得ない登山道でも、数歩脇に逸れたら崖という場所もあり、人とすれ違いざまに滑落する危険も考えられます。

特に危険箇所が見当たらない場所でも安心はできません。

子どもたちを引率して下山中に、男の子が斜面を転がり落ちて、つづら折りになっていた下の登山道に着地したことがありました。

無傷でしたが、もしもそこに石があったら・・・と思うと肝が冷えた瞬間でした。

道迷い、転倒、滑落、転落・・・遭難は誰にでも起こります。自分たちにも起こり得ると、まずは大人が理解することが先決です。

想定できていれば、万が一を考え、とるべき行動も見えてくるもの。安全確保は大人の責任です。手綱はしっかりと握っておきましょう。

 

2.体調に十分配慮する

登山 子ども ペース配分

子どもはペース配分ができない生き物です。常に全力で行動し、好不調の波も突然やってきます。

はしゃいで走っていたかと思えば、急に具合が悪くなって吐き戻す。山ではよく見かける光景です。

一度でもそんな経験をしてしまったら、登山には嫌な記憶がずっと付きまとうかもしれません。

登山では、歩く速度から水分やエネルギーの摂取のペースまで、何から何まで大人に左右されてしまいがちです。

意識して子ども目線のリズムを作ってあげましょう。歩く速度はいつもよりゆっくり。休憩も頻繁に、いつもより長めです。

子どもは身体の不調をうまく言葉にできません。ときには自分すら身体の異変に気づいていないこともあります。

見かけは立派な体格だったとしても、体はまだ成長過程にあります。子どもの能力を過信しないことです。

 

3.子どもに特徴的な危険 ①視野が狭い

登山 子ども 視野

幼い子どもの視野は大人と比べて狭く、危険に気づきにくいという特徴があります。

スウェーデンの児童心理学者サンデルスの研究では、水平方向の視界は大人150°のところ6歳児は90°、上下方向の視界は大人が120°のところ、6歳児では70°程度と報告されています。

左右は横断歩道を渡るときのように首を振って確認しなければよく見えません。足元も見ずらいため、つまずいたり転んだりすることが多くなります。

視野の狭さは、「山では子どもを先に行かせてはいけない」理由のひとつでもあります。

大人が安全を確保して、子どもが続くようにしましょう。

 

4.子どもに特徴的な危険 ②暑さに弱い

登山 子ども 暑さに弱い

子どもは大人と比べて暑さに弱いという特徴があります。

子どもは汗腺をはじめとした体温調整機能が未熟で、うまく体温を一定に保つことができません。

さらに、晴天時は地面に近いほど気温が高くなりますから、身長が低い子どもは大人よりも高温の環境にさらされてしまいます。

笹や草木に囲まれた登山道を歩いたとき、身長110㎝の子どもの目線まで腰をかがめたら、蒸し風呂の中にいるような暑さで驚いた経験があります。

大人は快適でも、子どもの背丈では草木に埋もれて風も通らないことがあります。一緒に登る山は、登山道周辺の環境も考慮して選ぶ必要があるでしょう。

休憩や水分補給のタイミングも、暑さに弱い子どもに標準を合わせましょう。子どもの様子に注意を払い、決して無理はさせないようにしてください。

 

5.子どもに特徴的な危険 ③寒さに弱い

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筋肉量が少ない子どもは、低体温症になりやすいという特徴があります。暑さにも寒さにも弱いのです。

人は寒さにさらされると、瞬間的に筋肉をブルブル震わせて熱を生み出します。

子どものように筋肉が少ないと、熱を生み出す能力が低くなり、体温を維持する力も低下して低体温症になりやすくなるのです。

加えて、子どもは体重に対する体表面積が大きいため、低温による体温の喪失が激しくなります。

防寒対策は「寒さを感じる前」にすることがポイントです。

休憩するときや風の強い場所(馬の背や稜線)では、身体を冷やさないように、真っ先に子どもにジャケットなどを着させるようにしてください。

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