北海道の山には7月でも残雪があります。
雪が滅多に降らない地域から来た登山者は、雪の歩き方が分からないと口々に不安を訴えます。
日ごろ雪に親しんでいない上に傾斜がありますから、みなさん戦々恐々としてしまうようです。
ともすると軽アイゼンのような道具に頼ることを考えてしまいがちですが、まずは歩き方のコツを覚えておきましょう。
1.残雪とは
その名の通り残っている雪であり、冬に積もった雪が融けつつある状態でもあります。
日陰や雪が吹き溜まるところは遅くまで雪が残ります。
谷筋の残雪の下には川が流れています。中が空洞になっていて、雪の層が薄くなっていることもあります。見てもわからないときがあるので、踏み抜かないように注意しながら歩きましょう。
2.残雪の状態を見極める
残雪といっても、柔らかく埋まってしまうものから、表面が硬いクラスト状態まで様々です。
柔らかく深い雪で埋まるならスノーシューが必要になることもありますし、登山靴のまま歩く「ツボ足」で問題なく登れることもあります。
表面が硬くて滑落の危険がある状態では、アイゼンを付ける必要もあります。アイゼンを使うほどでもない場合は、ピッケルで階段を掘って登ることもします。
アイゼンやピッケルを使うような場所は初心者向けではありません。初心者は特殊な道具を使わずに、歩き方を工夫することで行ける山を選びましょう。
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3.登りのキックステップ
残雪の登りはキックステップで歩きます。
キックステップとは、膝を支点にして、足を曲げてからキックするようにつま先を雪に突き刺して歩くこと。
上体は地球に対して垂直です。
怖がってへっぴり腰になったり前かがみになると、グリップを失って前に転倒し、そのまま滑落してしまいます。
雪が硬かったり、初心者がいる場合は、先頭を歩くリーダーやサブリーダーがピッケルを使って階段状に雪を掘ることもします。それでも不安なときには、補助ロープで初心者を確保します。
4.下りのキックステップ
下りもキックステップで歩きます。
下りのキックステップとは、かかとを真下にガツンと下ろし、雪にかかとを食い込ませて歩くこと。
登りと同様、上体は地球に対して垂直です。怖がって上体が後ろに引けてしまうとグリップを失い、尻もち転倒、滑落につながります。
雪が柔らかいときは比較的やりやすいのですが、硬いときは非常に危険でから、ピッケルを使用して滑落停止ができる技術が必要となります。
登りも下りも、雪が硬いときは初心者向けではないと覚えておきましょう。
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