テント泊 技術

登山の「テント設営」と「撤収」覚えておきたい手順とコツ

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登山 テント

山岳テントの張り方と撤収には、山岳特有のノウハウや、悪天候の中での作業を前提とした手順やコツがあります。

ここでは、天気が比較的良いときを想定した通常時のテント設営と撤収方法を、写真と動画で解説します。

強風や雨など「悪天候」でのテント設営と撤収の仕方は、こちらからご覧ください。

悪天候時のテント設営
強風や雨のときはどうする? 悪天候の山岳テント設営と撤収の仕方

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最初が肝心!設営場所の選び方

人工的に整地されたキャンプ場とは違い、山の上に完璧な場所はありません。

とはいえ、「ま、いいか」と適当にテントを張る場所を決めると、必ずあとからしっぺ返しにあって後悔するのが山の不思議なところです。

 

平らな場所を探す

可能な限り、平坦な場所を探します。

傾斜があると、寝がえりを打つのも大変で熟睡できません。

複数人で寝ていれば、いつの間にかズルズルと落ちて誰かにのしかかってしまうこともあり、それが原因でケンカが始まったことがありました。

どうしても平坦な場所がないときは、傾斜に対して縦(並行)になって、頭を上にして寝てみてください。

 

石や岩が少ない場所を探す

横になったときに体に石が当たると、いったん寝付いても、動くたびに石があたって目が覚めてしまいます。

とくに尖った石は要注意。

動かせる石はあらかじめ取り除き、地中に埋まって取り除けない石や岩は、できるだけテントの隅にくるように配置します。

 

水が流れた跡がない場所を探す

山では、夜半から朝にかけて天気が崩れる傾向があります。

水の通り道にテントを張ると、ぐっすり寝ている間に、雨でテントが浸水する可能性があるのです。

山では想像を超える雨が降ります。最新技術を結集したテントも、性能を上回る豪雨にあってはいとも簡単に浸水するのです。

 

風が当たらない場所を探す

山では、寝ている顔の上にテントの天井がくっつくほどの強風が吹きます。

テント本体やフライが風でバタついて破れることはよくありますし、ポールが折れてテントが崩壊することも稀にあります。

地形をよく見て風の通り道を予測し、可能な限り風が当たらない場所を探しましょう。

 

こんな場所は絶対NG

 崖の近く 

崖の近くにテントを張ると、転落や落石の危険があります。崖を登ってきた風が収れんして突風と化せば、テントが飛ばされる可能性もあります。

 

 川の近く 

川の近くにテントを張ると、急な雨などで増水して、テントが浸水する可能性があります。鉄砲水がくれば、テントごと流されてしまうかもしれません。

 

 高山植物の上 

高山植物は一度ダメージを受けると、回復するまで何十年という気の遠くなる時間が必要になります。緊急時でもない限り、高山植物の上にテントを張るのは絶対にやめましょう。

 

 キャンプ指定地以外 

危険な場所がある、保護対象になっている貴重な植生があるなどの理由で、テントを張ることができる場所は決まっています。

 

 

テント設営の手順とコツ

天気が良くてゆっくりと設営できる「通常時」のテント設営の手順とコツを紹介します。

テントの種類によって多少の違いはありますが、基本的な流れと押さえておくべきポイントは、どんなテントでも同じです。

 「手早く」「確実に」に設営しましょう。

 

1.風に背を向けてテントを広げる

テント広げる

風が入ってくる方角を入口にすると、中に風が入ってきてあおられるため、テント入口は風下に向けます。

グランドシートを持っている場合は、テントより先に広げましょう。

☛ ポイント

テント本体だけでなく、フライや収納袋なども風で飛ばされないように注意します。

中身を取り出したら、収納袋はすぐにジャケットのポケットやザックに入れる癖をつけること。

テント撤収時に「収納袋はどこ?!」とならないよう、保管場所を自分でルール化しましょう。

 

2.ポールを取り出して伸ばす

ポールを伸ばす

ポールはなるべく地面に置かないようにします。

組み立てたポールはテントの上に置くか、すぐにテントのスリーブに通すようにしましょう。

☛ ポイント

ポールの継ぎ目に土がつくと、ポールの組み立てに支障が出たり、サビの原因になります。

雪が付くと、凍りついてポールが分解できなくなるので注意しましょう。

 

3.ポールをスリーブに通す

ポールをスリーブに通す

ポールをテント本体に付けるときも、風上側から作業するのが鉄則です。

テントの作りによっては、風上側からポールを通すことができないものがあります。

風上側から作業できないときは、風であおられたり、飛ばされないように注意してください。

☛ ポイント

ポールは、引っ張ると接続部が抜けて、バラバラになってしまいます。

設営でも撤収でも、ポールは「押す」のが鉄則です。

 

4.ポールをグロメット)に差し込む

グロメットにポールを通す

ひとりで設営するときは、1本目のポールはテントを寝した状態(※)で入れ、2本目のポールを入れてから立ち上げると、作業しやすくなります。

※動画をご覧ください

☛ ポイント

穴(グロメット)が2個ある場合は、できるだけテントの生地をピンと張るため、内側に入れるのがベストです。

気温の変化でテント生地の伸び率が変わり、内側の穴に入らない場合は、外側の穴に差し込みます。

 

5.フライシートをかぶせる

フライを被せる

フライシートの入口を確認してから、テント本体にかぶせます。この時も風上側から作業します。

フライシートは軽いため、風で飛ばされたという話をよく聞きます。本体に連結するまでは、決して手を離さないように注意してください。

 

6.本体とフライシートをジョイントさせる

テント本体とフライをジョイント

 

7.テント本体の四隅をペグで固定する

テントにペグを打つ

石でペグを打ちます。

テント本体の四隅をペグで固定していない人をよく見かけますが、強風が吹けば、中にいる人も荷物も、テントごと飛ばされます。

風を甘く見てはいけません。

 

8.張り綱をペグで固定する

張り綱をペグで固定する

テントの四隅から張り綱をひっぱり出して、ペグで固定します。

☛ ポイント

張り綱はポールの延長線上にくるようにし、ペグの角度は張り綱に対して90°にします。

ペグが入らないとき、抜けやすいとき、強風のときは、石を使って固定します。

 

9.自在でテンションをかける

自在でテンションをかける

自在を調整して、張り綱を「指で弾いたら音がするくらい」ピンと張ります。

 

10.テンションコードをペグで固定する

テンションコードを張る

フライシートについたテンションコードを引っ張って固定し、フライが本体に接しないようにします。

☛ ポイント

テント本体とフライの間に空気の層を作ると、テント内と外の温度差を和らげ、テント内の結露を押さえてくれます。

テントと本体がくっつくと、雨の日には外部から水が染み込んでくることがありますので注意しましょう。

 

11.念のため石で固定する

張り綱を石で固定する

こちらは、石による固定方法のひとつです。

通常、石による固定は、ペグが打てないときや、地面が柔らかくてペグが抜けやすいときに行いますが、わたしはいつでもペグを打った上に石を置いて、保険をかけています。

山では、テントを設営する日中は穏やかな天気でも、夜になると急に崩れるパターンが多いのです。

雨や風が強くなってから外に出て作業するのは危険なので、万が一に備えて、最初から石で固定しているというわけです。

 

テント設営の動画

ここまで説明したテント設営の手順を、3分36秒の動画にまとめました。

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テント撤収の手順とコツ

1.テンションコードのペグを抜く

テンションコードペグを抜く

 

2.本体の四隅のペグを抜く

ペグを抜く

夜明け前の暗がりや、悪天候で撤収するときにやってしまうのが、ペグの回収忘れ。

ペグを抜いたら、必ず本数を確認するようにしましょう。

1日で下山するなら補充することもできますが、数日間の縦走テント泊でペグが足りなくなると、テント設営が絶望的になる可能性もあります。

 

3.フライシートをたたんで収納する

フライを外す

設営と同様に、風上側に立って作業すると楽にできます。

 

4.テントを乾かす

テントを乾かす

風が無くて条件が良ければ、ぜひやっておきたいのがこれ。

濡れたテントはけっこう重く、ふくらんでかさ張ります。

雨が降らなくても、夜露や結露でテントは濡れています。出発前にチャンスがあれば乾かしておきましょう。

 

5.ゴミを出す

ゴミを出す

テントの入口を開け、逆さまにしてバサバサとゴミを払い落とします。

 

6.ポールを取り外す

ポールは押して出す

ポールを穴(グロメット)から外し、テント本体から抜きます。

ポールは「押して抜く」のを忘れずに!

 

7.ポールを収納する

ポールは真ん中から折る

ポールの中にはゴム状のコードが入っています。

ゴムに負荷が均等にかかるようにするため、ポールは真ん中から折っていきます。

 

8.テント本体をたたんで収納する

テントをたたむ

テントの入口をすこし開け、中の空気が出るようにしてからたたみます。

 地面に接地していた底辺を内側にすると、汚れが他に移らず、テントをキレイに保つことができます。

 

テント撤収の動画

ここまで説明したテント撤収の手順を、2分30秒の動画にまとめました。

 

 

NG集とワンポイントアドバイス

知らないとやってしまいがちなNG集です。 

ペグの角度が悪い 

張り綱とペグの悪い角度

ペグの角度は、張り綱に対して90°にすると、十分な強度が得られます。

張り綱とペグの角度

 ただし、「地面が硬くて、ペグが打てるだけマシ」な状況では、この限りではありません。

その場合は、ペグが抜けないように、石などを使って固定の補強を行います。

 

張り綱がポールの延長線上から外れている 

張り綱の角度悪い例

張り綱の位置がずれていると、風に対してテントの持つ最大の強度を得られません。

張り綱はポールの延長線上にくるようにします。対角線上にあるポールとも、一直線になるようにしましょう。

張り綱の向き

欲を言えば、張り綱は、4本とも地面と同じ角度に固定されているとよりベターです。

それによって4本の張り綱に均等な力がかかり、風に対しての強度が最大限発揮されます。

 

張り綱がゆるんでいる 

張り綱が緩んでいる例

張り綱がピンと張っていないと、テントが持つ性能を十分に発揮することができません。

設営した直後はピンと張っていたのに、少し経つと風であおられて緩んでくることもあります。

さきほども言いましたが、風が無くて穏やかな天気でも、張り綱は石も利用してしっかりと固定するのがおすすめです。

また、テントは「設営して、お終い」ではなく、トイレに行くときなど、折に触れてチェックし、万全にしておくようにしましょう。

 

ベンチレーターをきっちり縛っている 

ベンチレーター

テントに必ず付いているベンチレーターは、一酸化炭素中毒を防止するためのものです。

テント内で調理したり、ストーブを使用するときは、酸欠にならないようにベンチレーターの口を開閉したり、テント本体やフライから出し入れして、換気をしなくてはいけません。

暴風雨になると、ベンチレーターがテント内に入り込み、垂れ下がったコードを雨が伝って、テント内が浸水することがあります。

そんなときは、細引きとペグでベンチレーターをテントの外側に固定して、内側に入り込まないようにするといいでしょう。

ベンチレーターが本体とフライシートの両方についている場合、両方とも外側に出すとテント内の空気が外へ、両方とも内側に向けると外の空気がテント内へ流れ込みます。

 

 

まとめ

憧れが先行しがちな登山のテント泊ですが、そこはやはり山。レジャー気分で行くと、必ずやしっぺ返しにあいます。

山岳テントが高価なのは、軽さだけでなく、過酷な環境でも耐えうる構造と性能が備わっているから。

そんな優れた機能を最大限引き出すには、「どんな悪条件下でもできるように何度も練習する」、これに限ります。

同時に、ペグの角度はどうして張り綱と90°がいいのか、といった原理原則を理解することも大切になってきます。

万が一トラブルが起きても、理屈が分かっていれば代替案が出せますし、登山以外の場面、たとえば災害時などでも活かせます。

さて、ここまで紹介してきたことは、あくまでも「通常時」のテント設営と撤収の手順とコツです。

悪天候でテントを設営するときは、どんなことに注意するといいのでしょうか?

強風や雨のなかでのテント設営と撤収について、こちらにまとめました。

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