テント泊 技術

悪天候時の山岳テント設営・撤収の仕方

更新日:

悪天候時のテント設営

悪天候の中で山岳テントを設営・撤収するときは、安全に素早く作業するためのコツがあります。

 強風や雨を想定した具体的な方法を、注意すべきポイントとともに、写真と動画で解説します。

「通常時」のテント設営と撤収方法は、こちらをご覧ください。

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山岳テントの張り方と撤収には、山岳特有のノウハウや、悪天候の中での作業を前提とした手順やコツがあります。 ここでは、天気が比較的良いときを想定した通常時のテント設営と撤収方法を、写真と動画で解説します ...

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悪天候のテント設営「手順」と「コツ」

悪天候でのテント設営は、テントやフライシートを風で飛ばされないように注意し、できるだけ濡らさないこと、素早く行うことが大切です。

 

風上側に立ってテントを広げる

風に背を向けてテントを広げる

風が入ってくる方角を入口にすると、中に風が入ってきてあおられるため、テント入口は風下に向けます。

 

先に風上側をペグで固定する

テントが飛ばないよう膝で押さえる

テントが風で飛ばされないように、膝をついたり、ザックを置いて重しにし、風上側2か所のペグを固定します。

☛ ポイント
フライや収納袋も飛ばされないように気をつけます。

雨が降っているときは、ザックの天蓋を開けたままにしておくと、中の装備がずぶ濡れになるので注意しましょう。

 

テントの中にザックを入れる

テントが飛ばないようザックを入れる

 ザックをテントの中に入れて重しにします。複数人いるなら、中に人が入ってもいいでしょう。

 濡らしたくない装備も、この時点でテントの中に入れてしまいます。

 

風下側のペグを打つ

風下側のペグを打つ

風下側2か所もペグを打ちます。

これでテント本体の四隅が固定されました。

 

ポールをスリーブに通す

ポールを2本同時に通します

テントにポールを2本同時に通します。

基本中の基本ですが、ポールは引っ張ると接合部が抜けてバラバラになるため、必ず押し出します。

本体がペグで固定され、中にザック等が入っているため、ポールがすんなり入らないかもしれません。

無理な力をかけると生地が破れますから慎重に!

ここは事前の練習が活きてくる場面です。

 

ポールを穴(グロメット)に差し込む

グロメットに差し込む

 

フライシートをかぶせる

フライ

風を利用して風上側からフライシートをかぶせます。

強風時は決して手を離さないように注意してください。

 

本体とフライシートをジョイントさせる

ジョイント部分のアップ画像

テントの構造によっては、本体とジョイントさせるために、先ほど固定したペグをいったん抜く必要があるかもしれません。

その場合は、「ペグを抜く、ジョイントする、ペグを打ち直す」作業を、1か所ずつ行います。

 

張り綱をペグで固定する

張り綱をペグで固定

本体についた張り綱をペグで固定します。

 

自在でテンションをかける

自在でテンション

自在を調整して、張り綱を「指で弾いたら音がするくらい」ピーンと張ります。

 

テンションコードをペグで固定する

テンションコードをペグで固定

フライシートが本体に接しないように、フライシートのテンションコードを引っ張ってペグで固定します。

 

念のため石で固定する

念のため石で固定

悪天候のときは、一刻も早くテントの中に入りたくなりますが、こういうときこそ、もしものときのバックアップを大切にしましょう。

 

設営ポイントまとめ

風で飛ばされないようにする

フライシートは薄くて軽いため、風で飛ばされることがありますし、テント本体を飛ばされて回収不能になったら、命に関わる大惨事になります。

強風時にテント設営するときは、風で飛ばされないように、ゼッタイ手を離さないこと!

ポイントを押さえて手際よく作業するために、事前に何度も練習してから山に出かけましょう。

濡らさない

雨の中でのテント設営で手間取ると、テントや装備が濡れてしまいます。

濡れた雨具や装備は速乾性のタオルで水気を取るようにし、テント内に水分を持ち込まないようにしましょう。

登山靴は風雨が吹き付ける前室には置かず、ビニール袋に入れてテント内に収納します。これは野生動物が持ち去らないための対策でもあります。

素早く行う

これには練習しかありません。

たまにしかテント泊しないなら、自分のテントでさえ設営にもたつきます。ましてや、買ったばかりのテントやレンタル品などは、いきなり本番はあり得ません。

事前に設営練習していれば足りない部材にも気づきますし、破損や不具合、防水加工の劣化などにも事前に対応できます。

 

悪天候のテント設営「動画」

ここまでの説明を、3分17秒の動画にまとめました。

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悪天候のテント撤収「手順」と「コツ」

張り綱とテンションコードのペグを抜く

ペグを抜く

 

風下側のペグを抜き、フライをジョイントから外す

風下側のペグを抜き、フライをジョイントから外す

 

風下側のポールをグロメッ)から外す

風下側のポールをグロメット(穴)から外す

 

ポールを抜いて収納する

ポールを抜いて収納する

 テントとフライシートが飛ばされないように、膝で押さえながら作業します。

 

風上側のペグを抜く

風上側のペグを抜く

最後まで残しておいた風上側のペグを外します。

 

テント本体とフライシートを袋に入れる

テント本体とフライシートを袋に入れる

濡れたテントは膨らみます。キレイにたたむ間もありませんので、付属の収納袋に収まらないと考えていいでしょう。

こんなときのために、大きめの厚手ビニール袋を持っていき、テントとフライを一緒にして突っ込みます。

☛ ポイント

【撤収作業にかかる時間を短縮する】

悪天候時のテント撤収では、作業時間を可能な限り短縮するのがコツです。

テントの中でほぼパッキングを済ませ、「あとは撤収したテントを入れるだけ」の状態にしておきましょう。

 

悪天候のテント撤収「動画」

ここまでの説明を、2分11秒の動画にまとめました。

 

 

まとめ

悪天候時のテント設営と撤収は、風で飛ばされない、できるだけ濡らさない素早く行うこと。

 押さえておくべきポイントは、この3点に絞られます。

山はいつも晴れているとは限りません。

どんなときでも快適に過ごせる空間を作れるように、テント泊登山に出掛ける前には、通常時の設営と撤収の練習に加え、悪条件を想定したトレーニングもしておきましょう。

通常のテント設営と撤収の手順と方法は、こちらをどうぞ。よくある失敗例も紹介しています。

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