登る山の難易度が上がってくると、登山道以外を登る「バリエーションルート」が登場してきます。
そこで必要になるのがロープワーク。
沢登りやクライミングをするとき、真っ先に覚えるエイト・ノット(8の字結び)を、動画と写真で解説します。
目次
1.エイト・ノット(8の字結び)とは?
2.エイト・ノットはこんな時に使用します
3.エイト・ノットの結び方と末端処理
4.注意点
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エイト・ノット(8の字結び)とは?
エイト・ノットは、クライミングや沢登りなどで、人の安全を確保するときに使用する信頼性の高い結びです。
ハーネスにロープを通して安全確保するときは、エイト・ノットが大原則です。物を吊り上げたり、けん引するときにも使われます。
ロープ自体またはロープ同士を連結することを『ノット』といいます。
紹介するエイト・ノット(8の字結び)は、8の字をつくり、それに沿わせていくようにして結びます。
正しく結べば解けることはありません。
強度が高く、破断しにくいという特徴があり、シンプルで素早く結束できることから、登山ではもっとも使用頻度が高い結びです。
応用範囲も広いので、確実に覚えておきましょう。
エイトノットはこんなときに使用します
エイト・ノットには末端で作るものと、途中で作るものがあり、用途に応じて使い分けます。
ハーネスとロープを結ぶ
ハーネスへのロープの結びはエイト・ノットが大原則。ロープの末端から作る方法とロープの中間で作る方法の2種類を使います。
沢登りでは、トップとラストは末端からエイト・ノットを作ります。
中間の人は、ロープの中間にエイト・ノットを作ります。
輪を作る
ザックなど重たい荷物の上げ下ろしをしたり、けん引するときに使います。
コブを作る
鳩目(穴)があるシートにロープを結びつけるときに使います。
止め結びなら小さなコブしかできず、ガッチリ締まると解けないというデメリットがありますが、エイト・ノットはより大きな穴に対応でき、解きやすくなります。
ただし、鳩目(穴)のないシートにロープを結びつけるときは『マスト』結びが有効ですので、こちらをご覧ください。
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エイト・ノットの結び方と末端処理
エイト・ノットの結び方と末端処理の仕方を紹介します。
なお、エイト・ノットは解けないので末端処理は必要ない、という意見もありますが、登山の世界では確実性を増すために必ずセットで行います。
末端から作るエイト・ノット
まずは、登山でもっとも使用頻度が高い、末端から作るエイト・ノットです。
NG例
- ロープの輪が大きすぎる
※何かに引っかかるなど、不具合が発生する可能性
- 末端処理のヒモが長すぎる
※ロープの無駄
※何かに引っかかるなど、不具合が発生する可能性
- 末端処理がエイトノットから離れている
※その分ロープが緩む可能性がある
ロープの途中で作るエイト・ノット
ロープの途中から作るエイト・ノットの結び方です。
結び目の【美しさ】=【安全】です。ロープが均一になるように整えるようにしましょう。
NG例
- ロープがばらばら
注意点
エイト・ノットをつくるときに注意したいのは、キンクさせないことです。
キンクしているエイト・ノット(右)、キンクしていないエイト・ノット(左)
ロープはまっすぐにした状態が最も強度が高くなります。
折れやよれ、よじれなどをキンクと言います。
キンクが生じると、ロープ本来の強度が発揮できなくなるだけでなく、破断につながることも考えられることから、なるべく避けるようにします。
エイト・ノットにはいくつか結び方がありますが、キンクしやすい結び方もあります。
この動画にある結び方は、簡単にできることからよく利用されていますが、ねじりを入れる時点でキンクを発生させてしまっているため、おすすめしません。
エイト・ノットは命を守るときに使う結びですから、簡単だからといって、そのような場面であえて不安要素のある結び方を採用するのは本末転倒でしょう。
くり返しますが、エイト・ノットは人の安全を確保するときに使用する結びです。
ヒューマンエラーによる事故を避けるために、疲れ切って頭が回らない時だろうと、暗がりだろうと、手がかじかむ寒さだろうと、どんなときでも確実に結べるようにしなくてはいけません。
手元を見なくても結べるように、繰り返し練習しましょう。
また、しばらく使っていないと忘れてしまいますから、定期的に練習することも必要です。