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登山初心者のためのヘルメットの選び方とおすすめモデル

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沢 ヘルメット

これから登山用ヘルメットを購入しようと考えている方のために、ヘルメットの基礎知識や選び方、注意点などをまとめました。

軽量モデルや、安価なモデル、大きなサイズ、小さなサイズの人気モデルも紹介していますので、参考にしていただければ嬉しいです。

 

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登山用ヘルメットの必要性

ヘルメットが必要とされる山といえば、槍や穂高のような難易度が高く危険を伴う山か、御嶽山のような活火山をイメージするかもしれません。

ところが実際は、ハイキングレベルの山でも転落や滑落による事故が起きています。登山者の数からいって、むしろ低山ほうが多いと言っていいでしょう。

わたしの身近で起きた死亡事故も、ほとんどが低山での滑落・転倒によるものです。バランスを崩して登山道から数メートル下に滑落したり、足を滑らせて転倒。落下距離は小さいものの、頭を打ったことが致命傷となりました。

警察省によると、平成29年度の山岳遭難者(山菜採りなどを含む)の内訳は、道迷いが全体の40.2%と最も多く、滑落16.8%、転倒15.1%が続きます。

御嶽山の噴火事故以来、活火山でのヘルメット着用率は目に見えて上がっていますが、実際には落石から身を守るより、滑落や転倒時に頭部を保護する機会のほうが圧倒的に多いといえます。

日本は欧米に比べて頭を守る意識が気薄だと言われています。スキー・スノーボードの世界では浸透しつつあるものの、登山の世界はまだまだ。長野県では平成25年からヘルメット着用推奨山域が指定されました。この動きは全国に広がっていくでしょうし、そうあって欲しいものです。

 

 

登山用ヘルメットの基礎知識

購入する前に知っておきたい登山用ヘルメットの基礎知識を紹介します。

沢 ヘルメット

 種類【インモールド、ハードシェル】

登山用ヘルメットは「インモールド」と「ハードシェル」の2種類に大別されます。

発泡スチロールで成型された外殻の外側を、薄いポリカポネード樹脂で覆っているヘルメットがインモールドタイプ。

ポリカポネード樹脂はプラスチックの一種ですが、通常プラスチックの5倍の強度があります。強い衝撃が加わったら、発泡スチロールが割れて衝撃を吸収します。

インモールドの特徴は、軽く、通気性が良いものが多いこと。一般的に重さは300g程度で、中には200gを切る超軽量モデルもあります。デメリットは、発泡スチロール自体で形成しているので厚みがあり、外形が大きいことです。

ハードシェルは、ABS樹脂というプラスチックでできた工事用ヘルメットのようなシェル(外殻)の内側に、衝撃吸収のための発泡スチロールが施されています。

強い衝撃が加わったときは、シェルと発泡スチロールで衝撃を吸収します。

ハードシェルは、ヘルメット自体の厚みが薄く、外形が小さいという特徴があります。かぶったときにヘルメットが悪目立ちせず、すっきりスマートに見える利点があります。デメリットは、硬いシェルがあるためインモールドよりも重いこと。モデルにもよりますが、重さは350g程度です。

 

形状【折りたたみ式、つば付き】

登山用ヘルメットの形状はつば無しタイプが大多数で、一部モデルでつば有りタイプや折りたためるタイプがあります。

つばの付いたタイプは雨だれしにくく、直射日光をさえぎったり、ヘッドランプを安定的に装着できるなどのメリットがあります。つば付きタイプのヘルメットはハードシェルに限られます。

折りたたみ式ヘルメットは、未使用時には荷物となってしまうヘルメットをコンパクトにできるメリットがあり、ザックの中に収納して携帯したい人に向いています。現在のところ、ヘルメットホルダーに収納して携行するスタイルが主流で、折りたたみタイプはあまり普及していません。

 

通気性

通気性はインモールドタイプのヘルメットの方が優れています。

インモールドタイプは、概して通気孔が大きく、数も多く、モデルによっては頭頂部近くにも通気孔が設定されています。厚みのある発泡スチロールの外殻で構成されているため、通気孔を開けても強度が落ちにくい構造上の利点があるためです。ただし、開口部が大きすぎると、落石の危険がある登山やアイスクライミングに適さなくなります。

一方ハードシェルタイプは通気孔が少なく、あっても頭側面のみに設定されているモデルが多くなります。シェルに穴を開けてしまうと強度に大きな問題が発生するため、むやみに開けることができず、とくに頭頂部付近に通気孔があるものはほとんどありません。ただし、最新モデルには通気孔が大きいものが登場しています。

 

サイズ調整

どのモデルもアジャスターでサイズを可変することができる仕様になっており、54-61㎝など幅をもたせたサイズ表記になっています。

直にヘルメットをかぶる場合だけでなく、汗取りインナーキャップや帽子をかぶることも想定して選びましょう。冬季登山をするなら、薄めのフリーズ帽などをかぶったうえでヘルメットを装着する想定で購入します。

頭囲60㎝以上で頭が大きめの方は、サイズの選び方には特に気を付けてください。例えば52cm~61㎝モデルがあったとしても、メーカーやモデルによるサイズ差がありますし、インナーをかぶると頭が入らないことがあります。

普段から帽子選びで苦労している人は、登山専門店で実物を試着してから購入することをおすすめします。

 

安全性能基準

現在のところ、日本では登山用ヘルメットに関する規格や規制はありません。流通している登山用ヘルメットの多くは、2種類ある国際規安全基準規格の片方、もしくは両方に適合しています。

✔EN12492

ENとは欧州の統一規格である「EN規格」で、12492とは登山用ヘルメットの規格です。「EN12492」がプリントされていれば、ヨーロッパ規格の登山用ヘルメットの安全基準と試験方法(エネルギー吸収テスト、貫通テスト、ストラップのテスト等)に適合していることを表しています。

✔UIAA規格

EN規格をベースに、より基準を厳しくしたものがUIAA規格(国際山岳連盟規格)です。UIAAのマークが付いていれば、国際連盟が定めた登山用ヘルメットの安全規格の試験方法(106)に適合していることを表しています。

登山用ヘルメットを選ぶ際は、この2つのマークのどちらか、もしくは両方が付いているヘルメットを選ぶようにしてください。マークが付いていない「スポーツ用」などとされたノーブランドの安価なヘルメットは、性能テストを実施していなかったり、規格に適合していない可能性が高く、登山にはおすすめできません。

 

耐用年数

耐用年数は一般的に3年~10年程度で設定されています。

モンベルのL.W.アルパインヘルメットの取り扱い説明書には次の記載があります。

使用状況にもよりますが、通常のご使用、お手入れ、保管をされた場合は最初の使用から5年間が目安です。使用頻度が高い場合はさらに短くなりますので早めの買い替えをお奨めします。

注目したいのは、プラスティック製部分の劣化を早める要因として「大きな衝撃」があげられていること。

一度衝撃を受けたヘルメットは、見た目に異常がなくても衝撃吸収材が潰れて本来の性能が発揮できなくなっています。落石などで身代わりになってくれたら、耐用年数以内でも交換するようにしましょう。

紫外線に当たると確実にシェルなどが劣化促進しますので、風通しのよい暗所に保管することも大切です。

 

 

ヘルメットの選び方と注意点

ヘルメットを選ぶときの手順と注意したいポイントについて紹介します。

※EN規格とUIAA規格の片方または両方に合格していることを前提条件とします。

登山 ヘルメット

サイズが合っている

価格よりもデザインよりも、まずはサイズが合っていることが再優先です。

耳の上を通るラインで額から後頭部の出っ張っている部分をメジャーで測り、最大値でヘルメットのサイズを選びます。それから自分の頭にジャストフィットするように微調整を加えます。

後頭部にあるアジャスターで頭囲の調整をし、パットがマジックテープなどで脱着できるモデルであれば、当たる場所などのパットを外すなどしてフィット感を確認します。

登山靴と同様、ある程度の時間かぶって様子をみるのがポイント。時間が経つにつれ違和感や痛みが出たり、歩きまわっているうちにヘルメットが徐々にズレてくることもあります。

きつくても緩くてもダメです。サイズ、アジャスターやパットなどの調整で対処できるか、しっかり確認しましょう。

わたしは頭囲が61cmと大きく、合うヘルメットを見つけるのに苦労しました。やっとかぶれるモデルを見つけましたが、こめかみ部分が圧迫されて痛みを感じたので、その部分のパットを外して使用しています。

 

雨具のフードを被ることができる

雨具(レインジャケット)のフードは、防風性の観点から必要最低限のサイズであることが多く、ヘルメットをかぶるとフードが被れなくなることが往々にしてあります。

低体温症に陥るくらいの悪条件化では、フードを被れるかどうかは生死を分けるほど重要なポイントです。好みなどより優先してフードとの相性を確認してください。かぶれたとしても首の動きが極端に制限されるものは避けましょう。

最近の雨具はヘルメット対応のフードになっているものがほとんどですが、古い雨具は合わない可能性があります。ヘルメット購入時は持参するといいでしょう。冬季の使用も考えているなら、冬用アウターのフードも要チェックです。

 

ヘッドランプを装着することができる

最近のヘッドランプのほとんどは装着が可能ですが、古いヘッドランプはベルトが短くて、ヘルメットに付けられないことがあります。

ヘッドランプを付けて行動することが頻繁にある場合は、外形の小さいハードシェルタイプを選ぶといいでしょう。購入前にはお店で確認することをおすすめします。

もっとも、ヘルメットは頭の大きさや形状など制限があるため、選択肢はそれほど多くありません。古いヘッドランプでベルトの長さが足りない場合は、買い替え時と考えて、最新のヘッドランプを購入したほうがいいかもしれません。

 

 

特長別おすすめヘルメット4選

「軽量」「安価」「大きいサイズ」「小さいサイズ(子ども用)」のおすすめヘルメットを選びました。※2018年11月現在の価格です

軽量ヘルメット

フランス・ペツル社のシロッコは一般的なモデルの約半分の重さです。驚異的な軽さを誇りながら、規格もちゃんとクリア。通気孔が大きめで、通気性も抜群です。

ヘルメットのインナーようなユニークな見た目に頼りなさを覚えますが、使用されているEPP(発泡ポリプロピレン)は、インモールドの内側素材EPS(発泡ポリスチレン)と比べて、衝撃吸収性、耐熱性、断熱性などに優れています。

軽いヘルメットは首にかかる負担も少なくなります。値段は高くなっても体の負担を減らしたい人向きです。

【メーカー】 ペツル
【モデル】  シロッコ
【重 量】  サイズS/M=約160g  / サイズM/L=約170g
【サイズ】  サイズS/M=48-58cm / サイズM/L=53-61cm
【タイプ】  インモールド
【規 格】  EN/UIAA
【税込み価格】14,580円(2018/11筆者調査)

 

安価でコスパに優れたヘルメット

安価でコストパフォーマンスに優れるヘルメットといえば、イタリア・カンプ社のタイタンです。これを選んでおけば間違いありません。

男女問わないシンプルなデザインとイタリアらしいカラーバリエーション(グレー、ホワイト、レッド、グリーン)、安価で軽量です。入門モデルとしても最適でしょう。

ハードシェルですが通気坑が何か所もついています。メンテナンスしやすいように内部が簡単に分解できる構造なのも嬉しいポイントです。

かつてカンプといえばロックスターが有名でしたが、日本の販社による取扱いが無くなってしまいました。

タイタンは価格も構造もロックスターに似ており、後継的な位置づけです。今後はヘルメットの定番モデルになっていくでしょう。

【メーカー】 カンプ
【モデル】  タイタン
【重 量】  サイズ48-56cm=約385g  / サイズ54-62cm=約435g
【サイズ】  48-56cm  / 54-62cm
【タイプ】  ハードシェル
【規 格】  EN
【税込み価格】7,344円(2018/11筆者調査)

 

頭の大きい人向け

アメリカ・ブラックダイヤモンド社は大きめのサイズの展開が多いブランドです。なかでもオールラウンドヘルメットの代表格ベクターのM/Lサイズは58-63㎝のラージサイズ。

ヘルメットは上限サイズ61㎝設定が多く、頭のサイズが60㎝を越える人にとって、ヘルメット選びは難しくなります。

頭囲61cmのわたしの経験では、ギリギリかぶれたとしても、頭にちょこんと乗ったヘルメットはまるで寿司ネタで、悲しくなるほど不格好です。

日ごろから「頭が大きくて合う帽子がない」とお嘆きの方におすすめのモデルです。

【メーカー】 ブラックダイヤモンド
【モデル】  ベクター
【重 量】  240g(230g,S/M)
【サイズ】  サイズM/L=58-63cm (S/M=53-59cm)
【タイプ】  インモールド
【規 格】  EN/UIAA
【税込み価格】11,800円(2018/11筆者調査)

 

頭の小さい人向け(子ども用)

プランス・ペツル社のピチェは、子どものクライミング用、サイクリング用として販売されているヘルメットです。

規格に適合しており、耐久性も抜群。ヘッドバンドの高さやサイズ、あご紐の調整もできて、大人用ヘルメットに負けず劣らずの性能です。

カラーはラズベリーとコーラルで鮮やかです。小さな子どもを登山に連れて行く際、視認性=目立つことは重要な要素ですからね。

サイズ範囲は48-54cm、年齢でいくと1歳半~6歳くらいの幼児から小学校低学年向けのサイズです。大人の帽子のSSサイズは54-55cmですから、頭が小さくてサイズが合うヘルメットが見つからない大人にもおすすめです。

【メーカー】 ペツル
【モデル】  ピチュ
【重 量】  310g
【サイズ】  サイズ=48-54cm
【タイプ】  インモールド
【規 格】  EN/UIAA
【税込み価格】6,901円(2018/11筆者調査)

 

 

おすすめメーカーの一押しヘルメット5選

CAMP(カンプ)

1889年創業のイタリアの老舗メーカー。C.A.M.P.とは、Concezione Articoli Montagna Premanaの頭文字からきています。

山間に囲まれたコモ湖の近くの街レッコで、錬鉄労働者だったニコラ・コデガが小さな鍛冶工房を開いたのが始まり。

カンプ、カシン、カンプセーフティーの3ブランドを展開中で、ヘルメットやピッケルやアックス、アイゼンなどの登攀用品のほかにも、高所作業安全の装備など産業分野の製品開発も行っています。

カンプのヘルメットは、全体的に主張しすぎないシンプルなデザインが特徴です。

おすすめモデルは絵具をはじいたようなデザインが美しいスピード2.0。登山に加えて、山岳スキー、アイスクライミング、ロッククライミングに対応しているので、これひとつで通年カバーできます。

 

mont-bell(モンベル)

1975年創業のモンベルは、言わずもがな日本のアウトドア総合メーカーです。

分かりやすい商品ラインナップ、日本製らしい明確なスペックコンセプトで、カタログを見ただけで詳細が分かります。

わたしはこれまで何度も問合せや修理依頼などをしてきましたが、毎回気持ちがいいくらい迅速かつ丁寧な対応です。企業風土は製品の品質に反映されますから、モンベルには絶大な信頼を寄せています。

登山用ヘルメットの自社モデルは「L.W.アルパインヘルメット」ひとつだけという潔さ。日本人の頭の形状にフィットさせたデザインですから、海外製品が合わない人はぜひ試してみることをおすすめします。

S/Mサイズで220gと軽量。値段も良心的です。M/Lは頭囲57-62cmですから、頭が大きめの人も選択肢に入れてみてはどうでしょうか。

モンベル公式オンラインショップ

 

Grivel(グリベル)

1818年創業、イタリアのモンブランの麓に拠点を置く、創業200年以上の歴史あるメーカーです。

製造には再生可能エネルギーを使用し、環境に配慮した技術とリサイクル材料を常に探求している企業です。

わたしにとってグリベルは、山岳経験豊富な人がかぶっている通好みの印象があるメーカー。後頭部まで覆う形状が特徴で、男性好みのデザインが多いですね。

ヘルメットを面取りカットしたような大胆なデザインのステルスがおすすめです。ゴツゴツした見かけとは裏腹に、重量はわずか200gしかありません。

国内正規品は、日本人の頭に合うように内側の幅を広げ、深さを出したデザインです。頭囲55-61cmのワンサイズ展開です。

 

PETZL(ペツル)

1975年、洞窟探検家のフェルナンド・ペツルによってフランスのクロールに設立されたメーカーです。

最初の製品は下降器、そしてヘッドランプ、ハーネスが誕生。いまやどこの登山専門店でも、クライミング用品やヘッドランプ売り場はペツルの製品で溢れてかえっています。

ヘルメットのラインナップも豊富で、軽量に特化したモデルから子ども用まで幅広いラインアップを揃えています。

おすすめはシンプルなデザインの最新モデル「ボレオ」。ハードシェルなのに通気孔が大きくて、ヘルメットの世界も日進月歩だと感じます。

ボレオはクライミングからキャニオニングなど幅広く使用できるのが魅力。オプションのクライミング用バイザーも取り付け可能です。

 

BlackDiamond(ブラックダイヤモンド)

1960年代に活躍したクライマーのイヴォン・シュイナードが設立したシュイナードイクイップメント社を引き継ぎ、1989年にアメリカのソルトレークに設立されたメーカーです。

現在では、クライミングギアのみならず、スキー、登山、アパレルと様々な商品を展開しています。

ヘルメットのラインナップは幅広く、価格に応じたランク分けも明確で、ユーザーが選び易いのが特徴です。

なかでもブラックダイヤモンドのハーフドームは、落石のリスクが高いアルパインクライミング用ヘルメットの代名詞ともいえる存在。山のあちこちで見かける人気モデルです。

比較的安価で320g(M/L)と軽量で、オールラウンドに使えます。

 

 

あったら便利!ヘルメットホルダー

ヘルメットを携行するときに、あると便利なのがヘルメットホルダーです。

ザックの中に収納するならヘルメット分の容量を空けておく必要があり、ザックの外側にぶら下げていると、わたしのようにうっかり岩で傷つけてしまうこともあります。「ずっとかぶっている」選択肢もありますが、公共交通機関で移動する人には厳しいでしょう。

ヘルメットホルダーには、主に「ネットで覆う」「ヒモで固定」「袋に収納」するタイプがあります。同じメーカーのザックにしか取り付けできないものがありますので、選ぶときは注意してください。

しっかり収納するならヘリテイジのヘルメットホルダーがいいですね。アクセサリーカラビナでひっかけるだけなので汎用性があり脱着も簡単です。袋状になっているので落下の心配もありません。お値段は高めです。

HERITAGE(ヘリテイジ) ヘルメットホルダー
ヘリテイジ

 

エクスペドのメッシュヘルメットホルダーも、ワンタッチでヘルメットを固定してくれるタイプです。縁の部分にはシリコン樹脂が付いてヘルメットが滑りにくい仕様。こちらは安価です。

 

 

寿命をまっとうするためのメンテナンスと保管方法 

ヘルメットの耐用年数は一般的に3年~10年程度で設定されていますが、使用頻度や使用環境、保管環境、定期的なメンテナンスを行っているかどうかで相当な差がでます。

汚れたり長期間使用しないときは、中性洗剤で丸洗いします。汗をたっぷり吸ったあご紐は、汚れを落とさないと変色の原因になるので要注意。洗ったあとは陰干して完全に乾燥させます。

保管前には全体的に劣化などの点検をします。あご紐の脱着部品はほとんどのモデルでプラスチック製を使っており、劣化によって破損することがあるので要チェックポイントです。

修理が必要になったら、購入したお店かメーカーに持ち込みましょう。自分で修理するとヘルメット本来の機能が損なわれたり、それによって保証の対象外になることがあります。命を守る装備ですから、過信しないほうがいいですよ。

耐用年数が過ぎていなくても、衝撃や摩擦、高温、紫外線などによって寿命が短くなることがあります。とくに1回でも衝撃を受けたヘルメットは、見た目には異常がなくても、シェルにヒビやくぼみが入っていることがあるので買い替えるようにしてください。

長期保管するときは購入時の箱に入れるなどして、他の荷物につぶされたりしないようにしたいもの。紫外線が当たると劣化を促進するので、風通しのいい暗所に保管するようにしましょう。

 

 

ヘルメットを購入するならどこがいい?(通販、店舗、個人売買)

ネット通販

アマゾンやヤフー、楽天などのネット通販を利用すれば、買えないモデルはありません。競争が激しいので価格も安い。ただし、海外メーカーのヘルメットの場合、並行輸入品は保証が受けられないことがあるので注意が必要です。国内正規品なのか、よく確認して購入するようにしてください。

 

登山専門店

ICI石井スポーツ、さかいやスポーツなどの専門店は、実際にかぶって確認できるのが最大のメリット。専門知識をもった店員さんからアドバイスを受けることができるのも魅力です。値段ではネット通販に負けますが、命に関わるものを選ぶときは登山専門店でじっくり吟味するのが王道。とくに初心者は実店舗で購入することをおすすめします。

 

個人売買

少しでも安く購入したい人にとって、メルカリやオークションは魅力的です。しかし、中古品に関して言えば、どんな使われ方をして何年経過しているのかはっきりしないヘルメットを、見知らぬ方から譲りうけるのはリスクが高いといえます。「命に関わる装備は人から借りてはいけない」と先輩から教わったわたしとしては、おすすめできない手段です。

 

 

登山に兼用できるか?自転車、スキー、工事用ヘルメット比較

「すでに持っているヘルメットを兼用できないだろうか?」

誰しもが抱く疑問を検証すべく、手持ちの登山用、自転車用、スキー用、工事用を比較してみました。前提は転倒、滑落、落石から最低限の頭部保護です。

登山用

ブラックダイヤモンド

自転車用

ノーブランド

スキー用

GIRO 9TEN

工事用

ミドリ安全SC-MB

大きさ

×

前後に長い

×

2まわり大きくなる

軽さ289g227g440g380g
安さ
耐衝撃性○UIAA規格△JCF規格○EN規格△国家検定品
通気性××
雨具フード相性××
その他インモールドタイプ登山ヘルメットで検証通気孔が大きく小石が頭に侵入

フードがかぶれない

夏は暑すぎる

フードがかぶれない

重い

衝撃吸収材が無い

安い

ホームセンターで入手可

登山用途×

 

自転車用ヘルメットは、主に走行しているときの転倒を想定しているため、側頭部に強度を持たせています。空気抵抗を少なくするため、大きな通気孔がたくさん開いているのが特徴です。軽さは断トツですが、落石に対する保護には向いていません。また、流線形なのでフードからはみ出してしまいます。

スキー用ヘルメットは、高速滑走しているときの転倒を想定しているため、頭部全体に大きな強度を持たせています。頑丈にしたことで重量が増しています。また、防寒対策でインナーが分厚くなっており、夏山シーズンはとても暑くてかぶれません。全体的に大きいので雨具のフードをかぶるのが難しくなります。

工事用ヘルメットにはいくつか種類があります。飛来・落下物用ヘルメットを例にとると、衝撃吸収材は無く、樹脂製ベルトがハンモック状になって頭を包み込む設計です。また、保護帽の安全基準により通気孔がなく、かぶり心地は決して良くありません。コンパクトなのでフードとの相性は問題ありません。

結論は、「最低限度、頭部を保護する目的が果たせればよい」レベルで考えると、自転車用や工事用でも何とか代用できると言っていいでしょう。

実際、登山ヘルメットを持ってない人が沢登りやクライミングに初めて挑戦するとき、工事用ヘルメットで代用しているケースはよくあります。何もかぶらないよりはずっといいですから。

とはいえ、快適さでは登山用ヘルメットには敵いません。使用頻度が高くなるようであれば、登山用ヘルメットを準備することが一番です。

 

 

ヘルメットは登山の基本装備です

アパレルほどではないにせよ、ヘルメット市場もモデルチェンジが盛んになってきました。そのたびに材質や構造が改良され、どんどん良いものが出てきています。

もはや、「ダサくて重くてかさばる」ヘルメットではありません。どれも軽量で数十グラムの違いしかありませんし、おしゃれでカラフル、入手しやすい価格設定です。

登山は危険を伴うスポーツです。ザックや登山靴と同様、ヘルメットも基本装備として考えるべきです。

御嶽山の噴火以来、登山者のヘルメット着用率が高くなってきています。この流れは今後ますます加速すると思います。

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