日本百名山「羅臼岳」登山のベースキャンプとして、多くの登山者に利用されているのが、羅臼町の知床国立公園「羅臼温泉野営場」です。
いちばんの魅力は、キャンプ場の中に羅臼温泉コース登山口があり、近くに無料の露天風呂「熊の湯」があること。
登山者に人気のキャンプ場と温泉を紹介します。
目次
1.羅臼温泉野営場(キャンプ場)ガイド
2.熊の湯ガイド
3.参考情報~熊よけスプレーレンタル
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羅臼温泉野営場(キャンプ場)ガイド
世界自然遺産知床の深い森に囲まれたキャンプ場「羅臼温泉野営場」は、羅臼岳登山に便利なことから登山者に人気のキャンプ場です。
羅臼町の知床横断道路ゲート手前にあり、羅臼町市街に車で5分ほどで行けるため、買い出しや食事にも便利。
近くには知床世界自然遺産・知床国立公園「羅臼ビジターセンター」があるので、羅臼岳登山に関する最新の情報を入手することが可能です。
国道を隔てたところには、秘境温泉「熊の湯」があり、無料で野趣あふれる露天風呂を堪能することもできます。
羅臼温泉野営場 基本データ
場所 | 目梨郡羅臼町湯ノ沢町 |
開設期間 | 6月中旬~10月中旬 2018年は6月9日~10月8日の期間 |
使用料金 | 1人1泊300円(清掃協力金) ※小学生未満無料 |
設備 | テントサイト、炊事棟3、トイレ2 |
管理人常駐時間 | 8:00~12:00 15:00~17:00 |
ゴミ | 観光客用有料ゴミ袋を購入すれば、ゴミを捨てることができます ※燃えるゴミ・燃えないゴミ 各100円 |
その他 | 予約制度はありません オートキャンプ不可 バンガロー、テント等のレンタルはありません 芝生上での焚火や直火は禁止です(テントサイトに炉があります) ペットの放し飼いは禁止です |
問合せ先 | 羅臼町役場産業創生課 0153-87-2126 |
53台分の駐車スペースがある駐車場。
かつてはライダーの聖地でしたが、今は車で訪れた道外からの旅行者や登山者が主流です。
車に生活道具一式を積んだ長期滞在者も、ちらほらと目に付きます。
管理人が常駐している時間内に管理棟で受付をし、清掃協力金を支払ってテントサイトを利用する手続きをします。
予約はできませんが、お盆時期などを除くと混雑とは無縁です。
テントサイトは管理棟をはさんで2か所。
自然な勾配を活かした高低差のあるつくりで、森の中にいる感覚です。
管理の行き届いたトイレには、身障用もあります。
観光客がポイ捨てしたり放置するゴミが多くて導入されたのが、有料の観光客用ゴミ袋。
観光客用ゴミ袋に入れたゴミは、管理棟脇の専用ゴミ箱に捨てることができます。
野営場の周囲には、熊や鹿除けの電牧(電気の通った柵)が張り巡らされています。
過去に火山性有毒ガスが発生した窪地状の場所は、ロープで囲われていますので、安易に近づかないようにしましょう。
芝生の上での焚き火や直火は禁止ですが、テントサイトには炉が備え付けられていますので、そちらを使用することができます。
炊事を始めると、ちょっとした隙にカラスが何でもかっさらっていきます。
夜中にはキツネが現れて、テントとフライシートの間に置いていた靴を持っていかれそうになりました。
このキャンプ場では、テントの外には何も置かないこと。
山中でのテント泊と同様の配慮が必要です。
羅臼岳登山に羅臼温泉野営場をすすめるの3つの理由
羅臼温泉コース登山口がある
人気の理由のひとつは、羅臼温泉コース登山口がキャンプ場に直結していること。
羅臼岳には斜里町ウトロ側から登る「岩尾別コース」と、羅臼町側から登る「羅臼温泉コース」の2つの登山道があります。
どちらも難易度が高いコースですが、登山道が整備されて、比較的登り易いのが岩尾別コース。
対して、羅臼温泉コースは往復11時間以上にもなる健脚向きコース。
知床の大自然や秘境感を堪能できる半面、夏まで雪が残り、海からのガスがかかりやすく道迷いしやすいなど、技術的にも上級者向きです。
日の長い夏山シーズンといっても、これほどのロングコースで難易度も高いとなれば、下山時間を考慮してできるだけ早く出発する必要があります。
ホテルに宿泊するのもいいですが、朝早いと支払いや朝食などが不便。
羅臼温泉野営場で前泊するのがおすすめなのです。
もちろん、ウトロ側の岩尾別コースを登る登山者もたくさん利用します。
岩尾別コースは知床峠をはさんで反対側です。アクセス抜群ですよ。
静かな環境
静かな環境も魅力のひとつ。
羅臼温泉野営場はオートキャンプ場ではありません。
テントサイトは地形を活かして区画分けされているので、大型テントにはちょっと窮屈です。
いま主流になっている巨大な居住空間を作る連結式テントや大人数のグループキャンプには不向きだと言えます。
そのようなキャンパーには、海を見下ろす見晴らしのいい高台に広大なテントサイトを有する「羅臼オートキャンプ場」が好適地。
羅臼温泉野営場には少人数でかつ静かな環境を好むキャンパーが自然と集まり、住み分けができているようにみえます。
登山者は早寝早起きなのに対し、一般キャンパーのほとんどはキャンプ自体を楽しむのが目的。
遅くまで宴会をしたりおしゃべりに興じる人がいると、登山者にとってはストレスになります。
そんなキャンパーが少ない羅臼温泉野営場は、登山目的で利用するにはこの上ない環境なのです。
安い
使用料は1人1泊300円。小学生未満は無料です。
最近のキャンプ場は、使用料の他にも入場料やテント一張りにつき別途使用料を徴収するのが一般的です。
羅臼温泉野営場の料金は、破格の安さと言えるでしょう。
登山の前にキャンプ泊するときは、山行に備えてしっかり睡眠をとって体を休ませるのが主目的。
到着したら「ただ寝るだけ」のときもありますから、安くすむのはありがたいですね。
そのうえ静かで居心地が良いのですから、ひと夏を過ごす長期滞在者がいるのも納得です。
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熊の湯ガイド
歩いて行ける距離に温泉があるのも、羅臼温泉野営場の魅力のひとつです。
野営場を出て、国道を渡った反対側にあるのが、秘湯で有名な無料露天風呂「熊の湯」。
キャンプ場を利用するときは、川のせせらぎを聞きながら野趣あふれる湯に浸かるという最高の贅沢を味わってください。
熊の湯 基本データ
場所 | 目梨郡羅臼町湯ノ沢町 |
泉質 | 含硫黄・ナトリウム・塩化物泉(硫化水素系) |
入浴可能期間 | 通年 朝5~7時は清掃のため入浴不可 |
入浴施設 | 脱衣所と浴槽 男女別 |
駐車場 | 国道脇に10台 |
問合せ先 | 羅臼町役場産業創生課 0153-87-2126 |
川にかかる橋を渡ると、むせるほどの硫黄臭がたちこめます。
さらに進むと、木立の中に秘境感ただよう露天風呂が姿を現します。
地元の愛好家の皆さんが管理しているというこの露天風呂は、羅臼川の河畔に湧く温度99℃の源泉をそのまま引きこんでいる源泉かけ流しです。
泉質は含硫黄ナトリウム塩化物泉(硫化水素系)。
女湯は塀に囲まれて目隠しされていますが、男湯は脱衣所も湯船も囲われていません。
非常に簡素な施設です。
脱衣所には、熊の湯に入浴するうえでのルール「熊の湯入浴十カ条」が掲示されているので、よく読んでから入浴しましょう。
驚くほど熱いお湯ですが、勝手に薄めてはいけません。
「湯船に入っている人の半分が熱いと感じたら水で薄めてよい」というルールは、熱い湯が好きな地元愛好家の間では絶対的なルールです。
気持ち良く入浴するために覚えておくといいでしょう。
開放的な男湯を見て驚き撤退する人、あまりの熱さに入れず退散する人など様々ですが、地元愛好家から観光客まで、訪れる人が引きも切らない人気ぶりです。
おすすめの時間は、観光客の少ない夕方や朝。
のんびりと湯船に浸かることができますよ。
参考情報~熊よけスプレーレンタル
羅臼岳登山道にはよくヒグマが出没します。
野営場の隣にある羅臼ビジターセンターでは、熊よけスプレーの貸出し(有料)を行っています。
レンタル料は1日1,000円、延長1日つき1,000円、使用したり破損したときは10,000円/1本です。
不安に思う方は問い合わせてみるといいでしょう。
貸し出し資格や料金についての詳細はこちら
➡知床財団「クマ撃退スプレーのレンタル~ヒグマ対処法」
クマ撃退スプレーを貸し出している羅臼ビジターセンターのホームページはこちら
➡羅臼ビジターセンター
熊よけスプレーは使い方を間違えると大変危険です。
効果や使い方、注意点などについて、登山初心者.comでも記事にまとめていますので参考にしてください。
熊よけスプレーは最終兵器と心得よ
北海道の山では、万が一ヒグマに遭遇したときのために熊よけスプレーを携帯する登山者を見かけます。 熊よけスプレーは通販やホームセンターなどで誰でも簡単に手に入れることができますが、使い方を誤ると大変危険 ...