山の栄養学

登山の水分補給はこうする「適した飲み物と必要量」

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登山の飲み物 ナロゲン、ラケン「登山では飲み物は何がいいんでしょうか?」「どのくらい持っていくといいですか?」

登山歴初心者から受ける質問で多いのが、飲み物に関する質問です。

登山では水分補給がとても大切だと知っていても、どんな飲料をどのタイミングでどのくらい飲めばいいか、よくわからないという人は多いようです。

登山の水分補給に適した飲み物、持っていく量の計算式、水分補給のタイミングなどについてお伝えします。

 

 

1.水分と塩分はセットでとる

登山水分補給

渇く前に水分補給

基本的には、水、お茶、スポーツドリンクなど、自分の好みの飲料水で差し支えありません。

ただし、運動で大量の汗をかいて水分と塩分が失われたときに、真水ばかり飲んで塩分補給をしないでいると、血液中の塩分濃度がさらに低下します。

その結果、浸透圧によって水分が移動して体液バランスが崩れ、筋のけいれん、つるなどの症状が起こりやすくなってしまうのです。

症状が進行すると、体が体液濃度を一定に保とうとして、喉の渇きを押さえ、水分補給をやめてしまう「自発的脱水」が起こります。

この状態になると運動能力が低下、体温が上昇して熱中症の危険があるだけでなく、血液がドロドロになって脳梗塞や心筋梗塞を起こす可能性がでます。

日本体育協会の指針では、3時間以上続く運動では塩分の入った水分をとるよう推奨しています。長時間に渡って激しい運動をする登山では、水分と塩分をセットでとると覚えておきましょう。

 

2.軽い運動ならアイソトニック飲料がいい

登山の飲み物は、いかに速く身体に吸収されるかを基準に選びます。

スポーツドリンクには、アイソトニック飲料とハイポトニック飲料の2種類があります。

アイソトニック飲料は、安静時の体液と同じ浸透圧になるように作られています。

自動販売機などで一般的に販売されているスポーツドリンクは、そのほとんどがアイソトニック飲料。順調に歩いているときの水分補給はこれで十分です。

市販のスポーツドリンクは甘すぎて苦手な人もいるかもしれませんね。運動時のエネルギー補給にもなるように、カロリーが高めになっていますから、飲みすぎに注意が必要です。

 

3.激しい運動にはハイポトニック飲料がいい

激しく汗をかいたら飲むといいOS-1ハイポトニック飲料とは、体液よりも低い浸透圧に調整された飲料水です。大量の汗をかいたときや熱中症になったときは、こちらのほうが効果が高くなります。

有名なところでは、飲む点滴と言われる経口補水液OS-1もハイポトニック飲料のひとつ。一般的なスポーツドリンク(アイソトニック飲料)や他のハイポトニック飲料よりも塩分が多く、糖分が少なくなっています。

運動による発汗で、体液が薄くなっている状況では、アイソトニック飲料よりも吸収がよいのが特徴です。

経口補水液は【水1ℓに対し、塩3g、砂糖40g】で作ることができます。ここにレモン果汁を50ml入れると、クエン酸やカリウムの摂取もでき、何より飲みやすくなります。

余談ですが、我が家では下痢や発熱したときのために、経口補水液でできたゼリー(OS-1ゼリー)を冷蔵庫に常備しています。

元気なときに飲むと、こんなに不味いものはありません。逆に体調がすぐれないときに飲むとそうは感じません。美味しく飲めるのは、体が必要としているときなのでしょう。

スポーツドリンクを水で薄めてハイポトニック飲料にする人もいますが、薄めることにより塩分や糖分の濃度も薄くなり、脱水対策の効果も低くなります。薄めるのはやめたほうがいいでしょう。

 

4.真水はどうでしょう?

真水は体に吸収されるまで30分はかかります。朝食時や登山前の水分補給にはいいとしても、運動中の水分補給にはあまり向いていません。

ただし、休憩のたびに塩のきいたおにぎりなどを食べるなら、真水や麦茶などで問題ないでしょう。その場合は、1ℓの水分に1~2グラム程度の塩を更に補給しておきます。

ケガをしたときの洗浄などに利用するため、わたし自身は常に真水も持ち歩くようにしています。

経口補水液パウダー W-AID

経口補水液やスポーツドリンクのパウダーを持参すれば、必要に応じて飲料にもできますし、ケガの洗浄用途にも使えます。

 

5.量とタイミング

登山 水分補給

山に持っていく量としては、どのくらいが目安なのでしょうか。

山本正嘉氏は著書「登山の運動生理学とトレーニング学」の中で、脱水量を求める式を紹介しています。

 

まずは行動中の脱水量を求めます。

行動中の脱水量(ml=体重(㎏)×行動時間h×5

体重が70㎏の人が7時間の日帰り山行をするときは、2,450mlの脱水が推定できます。

ならば、500mlのペットボトルを5本持っていくといいかというと、そうではありません。

 

次に、どのくらい水分を補給したらいいのかを求めます。一般的な登山者であれば、

水分補給の目安=行動中の脱水量(ml)-10×体重(㎏)

2,450(ml)-10×70=1,750(ml)が行動中に持ち歩く水分の目安です。

 

登山開始前に500mlのアミノ酸飲料を飲んだら、行動中の補給量はこの分を差し引きます。携行するのは1,250(ml)になりました。

わたしなら、念のために多めにスポーツドリンクを1ℓ、真水を1ℓくらい持っていきます。

この目安は、体力や天候、歩くペース、汗をかきやすいといった体質によっても大きく変動します。途中に水場があるかどうかでも違うでしょう。

 

水分補給のタイミングは、「登山前」「登山中」「登山後」と3つに分けられます。

登山前には朝食以外に500mlの水分を補給します。朝食で塩分を摂らない場合は、経口補水液やスポーツドリンクで塩分を補っておくようにします。

登山中は30分おきに水分をとるのがベストです。喉が渇いた時点で軽い脱水症だといわれていますから、喉が渇く前に意識して飲むようにします。

一気に大量に飲んでも、体に吸収しきれずトイレに行きたくなるだけです。ゴクゴクと大量に飲むのではなく、休憩のたびに少しずつ口に含むようにして飲むといいでしょう。

下山後には脱水量が体重の2%以内になるように水分補給します。

 

◆水分補給についてより詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。

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参考
「登山の運動生理学とトレーニング学」山本正嘉 東京新聞
「登山外来へようこそ」大城和恵 角川新書
「アスリートのための栄養・食事ガイド」日本体育協会スポーツ医・科学専門委員会監修 第一出版
ポカリスエット公式サイト
OS-1公式サイト

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