山にはかぶれや炎症を起こす植物が生えています。
可憐な姿からは想像できませんが、登山道の脇でよく見かける草花の中にも、触ると激しいかゆみや炎症を起こすものがたくさんあります。
山の服装は長袖・長ズボンが基本というのは、思いがけないケガやマダニへの対策だけでなく、そんな植物との接触を避ける意味合いもあるのです。
そのつもりはなくても、休憩や人とすれ違った瞬間に触れてしまう可能性もゼロではありません。特にかぶれやすい植物について、症状と対処法、予防策をご紹介します。
1.ウルシ
かぶれる植物でよく知られているのがウルシです。ヤマウルシ、ツル状に成長するツタウルシは毒性が強くかなり危険。関東以西から沖縄にかけて生育するハゼノキもウルシ科です。
ウルシの樹液にはウルシオールやヒドロウルシオールなどの成分が含まれていて、触れると痒み、発疹、腫れ、水泡などの接触皮膚炎を発症します。
症状は個人差が大きく、敏感な人はウルシの近くを通っただけで症状が出るといわれています。また、激痛を感じたり、体全体に腫れやかゆみが広がったりする場合もあります。
2.トウダイグサ科
トウダイグサ科のトウダイグサ、ノウルシなどの茎から出る白い乳液には、ユーフォルビンという有毒物質が含まれています。
刺激が強く、触れるとかぶれて水疱ができることもあります。
3.キンポウゲ科
キンポウゲ科のうち、春山を代表するニリンソウ、低山でもよく見かけるミヤマオダマキや身近なところに生えているキツネノボタンなどには、プロトアネモニンという炎症物質が含まれています。
葉や茎が傷ついたり折れると出る汁に触れると、湿疹やかぶれを起こします。
4.イラクサ科
草むらで何かに触れたあと、チクチクと痛痒さを覚えた経験は誰しもあるでしょう。
”かいかい草”の別名を持つイラクサには、茎や葉に微細なトゲがあります。
そのトゲにはヒスタミン、セロトニンなどの炎症を引き起こす物質が含まれ、皮膚に刺さると痒み、痛み、発疹、腫れを生じます。
スポンサーリンク
5.対処法
かぶれの原因となる樹液や汁がついた手で他のところを触ると、そこにも炎症が生じます。皮膚についたときは、かいたりせず水でよく洗い流しましょう。
我慢できないほどのかゆみは、水で冷やすと若干弱まります。皮膚がただれて敏感になっていますから、湿布を使うのは避けましょう。抗ヒスタミン剤入りステロイド軟こうを持っている場合は塗ります。
イラクサ科については、粘着テープを患部に当て、トゲを取り除いてから水で洗い流します。取り除かずに洗うと、トゲが皮膚に深く刺さってしまいますから注意しましょう。
かぶれの原因になるものは、着ていた衣類や装備などにも付いていることも考えられます。洗濯するときは、中性洗剤ではなく石けん(アルカリ性)を使って洗います。
6.予防策
長袖・長ズボン・手袋を着用し、肌を露出させないことが大原則。これに勝る予防策はありません。
登山道を外れてむやみに草むらに入らないことも大切です。これに関しては、植物かぶれを防ぐ以前に、登山のマナーのひとつでもありますね。
かぶれやすい植物について知識を持っておくことで、無用な接触をさけることも可能でしょう。
子どもは皮膚が薄く敏感です。かぶれの症状も重たくなることが多く、かきむしったりして酷くなりがちです。
子どもと一緒に山に登るときは、はしゃいで草むらに入ったり、綺麗だからと花を摘んだりしないよう、あらかじめ約束しておくといいでしょう。