子どもと登る

子どもと登山を楽しむコツ「ワクワク、ドキドキの感動を分かち合う」

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親子登山 西別岳 がまん坂を登る子ども子どもと登るときに大切にしたいことは何でしょうか? 登頂が真っ先に頭に浮かんでくるとしたら、ちょっと考えを改める必要があるでしょう。

子どもと一緒に登るときは、ワクワク、ドキドキすることが最優先です。まだ体力も十分でない彼らとの登山では、頂上を踏むことにこだわらないこと。

子どもの注意と興味を引くものは山の中にたくさんありますから、大人の思惑通りには動いてくれません。大人はそばにいて、一緒に発見して、感動を分かち合うだけでいいのです。

アゲハ蝶

楽しければ次回もまた山に行きたくなる。これが子どもと登るときに目指したい自然な流れです。

 

 

1.楽しむことが何より大切

登山 見つけた カタツムリ

大人にとっての登山の楽しみは、達成感や健康促進、高山植物や登った人にしか味わえない景色を見ることなど多様です。

子ともにとっての登山は単純に「遊び」です。親や大人と一緒に遊びに行く感覚ですから、楽しいことが何よりも大切です。

子どもと一緒に登るときは、彼らの「ワクワク・ドキドキ」を優先しましょう。「今日は楽しかった」の一言があれば大成功。「また行きたい」に繋がります。

 

2.頂上を踏むことにこだわらない

登山 観察

頂上を踏むことにこだわるのは大人のエゴです。

頂上を踏むことで達成感を得ることもできるでしょう。それも大切なことですが、褒めそやして毎回頂上へ立たせることを良しとしていると、褒められたい一心で頑張る子になりかねません。

途中、子どもの好奇心の対象物が次から次へと現れます。

虫や花を観察したり、面白い石を拾ったり、寝転んで空を見ているだけでも楽しいのです。おやつを食べたり、お弁当を広げてのんびりと過ごすだけで満足するかもしれません。

そんな余白を残しておくことです。

 

3.一緒に共感する

猫 雪渓


子どもが見つけた猫の雪渓

山にのぼっていると、子どもからナゼナゼ?の質問がたくさんでてきます。答えられなくても、「きれいだね」「どうしてだろうね?」「帰ってから調べてみようか?!」と一緒に感動して、考えて、共感してあげましょう。

「沈黙の春」の著者レイチェル・カーソンは「センス・オブ・ワンダー」の中で、すべての子どもが生まれながらに「センス・オブ・ワンダー:美しいものや未知のものに目を見はる感性」を持っているといいます。

”生まれつきそなわっている子どもの「センス・オブ・ワンダー」をいつも新鮮にたもちつづけるためには、わたしたちが住んでいる世界の喜び、感激、神秘などを、子どもと一緒に再発見し、感動を分かち合ってくれる大人が、すくなくともひとり、そばにいる必要があります。”

出典:「センス・オブ・ワンダー」レイチェル・カーソン著、新潮社

山で大人ができることは、安全の確保や見守ること。そばにいて一緒に驚き、忘れていた感動を呼び起こして分かち合うこと。

何かを教えたりする必要はなく、子どもは自然と自発的に学んでいくようになります。そして、自ら興味を持って学んだ知識は、しっかりと身に付くものです。

 

4.山の楽しみ方いろいろ

①花を楽しむ

メアカンキンバイ高山植物は、低温と強風にさらされるような厳しい気象条件と環境下で生きています。

夏は短く子孫を残す期間もわずか。土壌は水分や栄養分も乏しいため、高山植物はどれも小さく成長が遅いのです。

キレイだからと摘み取ってしまったり、登山道を外れて踏みつけてしまったりすれば、回復に気が遠くなるほどの時間が必要になります。そもそも回復するかどうかさえわかりません。

山では草花はそっと眺めるもの。子どもには、自然との付き合い方やマナーを学ぶいいきっかけになるでしょう。

 

②景色を楽しむ

東雲湖

登山中の景色は疲れを忘れさせてくれます。休憩場所は景色の良いところを選ぶといいでしょう。

関東地方なら、高尾山など富士山が見えるような山を選ぶといいですね。

歩いてきた道筋を振り返り「家はどっち?」などと遊びの要素を取り入れるのもいいでしょう。

景色を見ながらのんびりとおやつを食べたりお弁当を広げるのも、子どもにとっては非日常の体験です。そんな些細なことでも十分に楽しんでくれます。

 

③動物を楽しむ

森の中のエゾシカ山には鹿、カモシカ、ウサギ、リス、テン、キツネ、鳥などいろいろな動物がいます。

実際に遭遇するのは稀ですが、鹿が木の皮をかじった跡、登山道の岩のうえにあるキツネの糞、泥に残った足跡など、動物たちの存在を感じさせる痕跡がいたるところに見られます。

足跡からどんな動物か想像してみたり、糞の中に混じっているものから何を食べているのか考えてみるのも面白いですね。

 

④虫を楽しむ

ウスバキチョウ

地上では見られない珍しい高山昆虫がたくさんいます。

北海道の大雪山系に生息する天然記念物ウスバキチョウは、厳しい環境で生き抜くため、卵と蛹の状態で2回越冬し、3年目にようやく羽化します。幼虫が食べるのは、ガレ場にひっそりと咲くコマクサです。

蝶が動物のフンから水分を吸っていたり、動物の死骸にむらがって汁を吸っている光景を目にしたことがあります。これが厳しい環境の中で生きるということか、と驚きました。

学べることは無限大です。

 

⑤植生を楽しむ

深い森その土地の気候や地形、土壌、動物などとの関係によって、植物は独特の植生を作り上げます。

風の強いところは、木がまっすぐ伸びていません。地面を這うように、風に流されるよう伸びる向きで「この山には強い西風が吹く」といったことがわかります。沢に木が生えていないなら、過去に雪崩や地滑りが起きたのだとわかります。

噴火があった火山では、数百年単位で植物が戻ってきます。北海道を例にすると、最初に生えてくるのは木であれば陽樹のダケカンバ。次に陰樹のマツ。植物なら、ガレ場を好むイワイソツツジ、キンバイなどから生えてきます。

大人が知識を付けて教えるというよりも、子どもと一緒にナゼ?どうして?と考えてみるのがいいのです。

 

⑥雲を楽しむ

山の上の生クリームのような雲雲がワニや飛行機に見えたりするのは、子どもの専売特許です。

小さい子どもなら、ただ寝転んで雲を見ているだけで楽しめます。ある程度の年齢になったら、リアルタイムで雲ができる様子を一緒に観察するのもいいでしょう。

雲ができる瞬間

斜面の上昇気流で雲ができる様子

湿った空気が山肌を駆け上がり、冷やされることにより水分を抱え込んでいられなくなって放出し霧になる様子などは、気象を学ぶ生きた教材です。

学校で知識として「知る」より、直感的に「感じる」ことでしっかりと身に付きます。

大人に知識があればそれに越したことはありませんが、分からなくても大丈夫。好奇心を持って子どもと一緒に感動を共有しましょう。

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