パッキング(収納)次第で、荷物が体の一部になり重さを感じないことも可能なら、バテてしまって登山が修行になることもあります。
詰め方を見れば、持ち主の登山術や知識、経験レベルさえ、おおよそ検討がつくもの。パッキングが上手な人は、行動も速いともいわれています。
必要な物をすぐに取り出せて、収納できる。こんなちょっとした差が、荒天時などには命を左右することにもなり兼ねません。
入れる場所や順番、重心の位置など、上手なパッキングにはコツがあります。荷物が重くなればなるほど、それが活きてきます。ぜひ覚えてください。
1.荷物はバランスよく
なるべく上下左右の重さを均等に配分します。
重心バランスが左右どちらかに寄っていると、歩くたびに体は無意識に修正しようとします。
登山ではこの動作が何千回何万回も繰り返されるため、疲れがたまるばかりか、限度を超えると体を痛めてしまうこともあります。
上下のバランスも同様です。上に重心が偏っていると、起き上がり動作など大きな動きをしたときに、体が持っていかれて転倒する危険があります。
下に偏ると、常に後に引っ張られて荷物が余計に重く感じ、無駄に体力を消耗します。腰にも負担がかかりますから、腰痛持ちの人は要注意です。
長時間歩く登山は、ちょっとした違和感が徐々に増幅します。パッキングの出来不出来が、快適な登山となるかバテて不快になるかを左右します。
2.重心は背中の真ん中
ザックが体の一部になってくれると重さを感じなくなります。
その最も大切な要素が重心です。背中の中心部に重心がくるようにすると、背負いやすく重さも感じにくくなります。
さらに、重たいものは背中の近く、かつ上下の真ん中あたりに詰めます。
スーパーでの買い物など、日常では水や油のように重たいものはバッグの一番下に収納することが多いものです。
気を付けないと、登山のパッキングでも無意識に同じようにしてしまいがちです。荷物を背負うときは別だと覚えておきましょう。
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3.硬いものは背中に当たらないように
ゴツゴツとしたものが背中に当たると、快適に動けません。
ペットボトル入りの水などは、重たいので本来は背中の近くに入れるべきもの。けれどゴツゴツしていて背中に当たると不快です。
縦走装備などではコッヘルなどの調理器具を持つことがあります。背中から離れたところに収納しても、形も大きさも様々で身体に当たってしまうことがあります。
こんなときは、背中側に柔らかい衣類(防寒着)などを一枚入れてクッションにします。硬いもの、ゴツゴツしたものをグルリと巻いてしまってもいいでしょう。
ザックが外見上ゴツゴツしていたら、単に見栄えが悪いだけではありません。上手にパッキングできたときは、見た目も美しいのです。
4.取り出しやすさを考える
緊急時に必要な救急セットや休憩の度にはおる防寒着などは、すぐに取り出せる場所に収納します。
テント泊や小屋泊で使う道具、滅多に使わない予備の装備など、使用頻度が低いものは、ザックの下に収納します。
ポケットには、地図やコンパス、飲み物や行動食を入れておき、立ち止まったときにでもザックを下ろさずに取り出せたらベスト。
細かいものはバラバラにならないよう、袋に入れてひとまとめにしておくといいでしょう。