地図とコンパス 技術

コンパスの使い方【上級編】ベアリング表を使いこなす!

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ベアリング表と地図はセットで

地図とコンパスの基本技術を習得した方のための、ベアリング表を使ったハイレベルなナビゲーション技術の紹介です。

本来は雪山で使用するもので、吹雪やガスによって視界が効かないときでも目的地にたどりつく「ホワイトアウトナビゲーション」としても知られています。

実際には、お客様を引率する登山ガイドや指導的立場にある人は、季節に関係なく実践しています。

というのも、準備段階で山の情報がより詳細に頭に入り、コースの全体像をイメージしやすくなるからです。

また、現地でガスや風雨による過酷な気象条件に見舞われて、地図とコンパスに集中できなくても、事前に作成していた「ベアリング表」とコンパスがあればスピーディーに正しい方角を導き出すことができ、道迷い防止につながります。

  • 読図技術をより確実なものにしたい
  • いずれは冬山登山もしてみたい
  • グループ登山のリーダーを務めることがある

こんな方は、ぜひ身につけておきましょう。

なお、コンパスの基本的な使い方を知りたい方は、まずはこちらの記事をご覧ください。

登山 コンパス
コンパスの使い方

登山では道迷いしないために位置を知ることが非常に大切です。 そのためには、地図とコンパスによる読図技術を身に付ける必要があります。 地図の事前準備、進行方向を割りだす方法、現在地を知る方法など、必須技 ...

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ベアリング表とは?

ベアリング表完成

ベアリング(bearing)とは【方位・方角・方向】を意味しています。

登山で利用するベアリング表とは、

1/25000地形図に、登山ルート、任意のチェックポイントを記入し、チェックポイントから次のチェックポイントまでの方位、距離、標高差などを記入した表のこと。

ベアリング表を作るためには、事前に机上で地図を読み(読図)山の概要を理解することから始まります

大変な作業ですが、事前準備でこれだけのことをやっていれば、相当な情報が自然と頭に入ることになります。

それにより、道迷い遭難をはじめとする登山のリスクは、かなり軽減できるでしょう。

 

ベアリング表の作り方

大雪山系の小泉岳を、銀泉台から入山して赤岳経由で日帰り登山する場合を想定します。

①地形図に磁北線と登山ルートを記入する

この山の場合【9°30′】の磁北線を引き、登山ルートにも線を引きます。

地図 磁北線 ルート記入

磁北線を引き、登山ルートをなぞりました

 

②尾根と沢に線を引く

明確に分かる尾根、沢に線を引き、山の全体像を理解します。

枯れ沢でも沢地形には線を引きましょう。

慣れてくると、山の地形がジオラマ(立体模型)のようにイメージできます。

地図 沢と尾根記入

明確に分かる尾根、沢に線をひきます

 

③任意のチェックポイントを選ぶ

ベアリング表任意の地点記入

分岐、休憩地点、沢、コル、ピークなど、分かりやすい地点を選びます。

夏山の場合は、登山道の向きが変化する場所もチェックポイントに加えておくといいでしょう。

わたしは、これにプラスしてルート上に標高100mごとに印をつけています。

歩きながら標高線を見るのは大変で、少しでも他のことに意識を集中させたいからです。

地図 完成

 

④チェックポイントの標高を読み取る

ベアリング表 標高を記入

1/25000地形図では、10m間隔で等高線が表示されています。

ここからチェックポイントの標高を読み取りましょう。

等高線

10m間隔の等高線(太線は50m間隔)

 

⑤方位を調べる

ベアリング表 方位バックベアリング記入

選んだチェックポイントから次のチェックポイントの方位をコンパスで測り、記入します。

方角を調べる

A地点からB地点の方位は、306°であることがわかりました

もしもの時のために、戻る方向(バックベアリング)も記入します。

バックベアリングは、進む方向から180°引き算をした値です。(進行方向の逆)

進む方向が220°の場合、バックベアリングは220-180=40°です

★留意点

筆者の場合は全体的に把握したいので、地点から地点で方位を出しています。そのため、現在地から足を踏み出す方向(登山道の向き)と一致していないことがあります。

ベアリング表の解説書籍などによっては、地点から進みだす方向を方位にしています。どちらが良いかは、状況に応じて使い分けてください。

 

⑥距離を調べる

ベアリング表 距離を記入

チェックポイント間の距離を測ります。

1/25000地形図は、地図上の1cmは250mになります。

登山道はつづら折りになっていることもありますから、測るのに便利なマップメジャーを利用すると便利です。

 

⑦チェックポイント間の標高差を記入する

ベアリング表 標高差を記入

チェックポイント間の標高差を記入します。

これを見ながら登山すると、標高差感覚が自然と身についてきます。

 

⑧各チェックポイント間の推定時間を記入する

ベアリング表 時間記入

ガイドブックを参照します。

わたしの場合、縦走装備ならプラス20%、子連れならプラス50%の時間調節をします。

 

⑨地形の特徴などを記入する

ベアリング表 注意事項記入

地形の特徴、注意点、植生の変化など、気が付いたことを記入します。

植生が針葉樹なのか広葉樹、沢地形を通るのか等イメージしておくとよいでしょう。

以上でベアリング表は完成です。

 

ベアリング表の活用方法

登山中は地図とベアリング表はセットで使います。

できれば高度計もあったほうがより正確です。

雨天でもすぐに取り出せるように、厚手のビニール袋に入れて、ポケットやウエストポーチなどに入れておくといいでしょう。

地図はビニール袋へ

ビニール袋ごとたたみポケットへ

 

①登山口(A地点)では、コンパスをB地点の方角306°にセットし、進む方向を確認します。

②メモ欄にスタート時刻を記入します。

③B地点に到着したら、メモ欄に到着時刻を記入します。

④B地点を出発するときは、次のC地点の方角259°にコンパスをセットします。

 

ベアリング表 予定との差を確認

 

このように使うことで、進行方向を間違えず確実に歩みを進めることができるのです。

また、予定時刻と実際の時刻が一目瞭然ですから、目的地への到着時刻の予測や、引き返すタイミングも分かり易くなります。

ルートも「次の目的地点まであと標高○○mで、時間は約○○分」と、より具体的に、より詳細に把握することが可能。

あらゆる面で、読図がより深くなっているのがお分りいただけるでしょうか?

 

まとめ

ベアリング表の指導

筆者のナビゲーション技術講習

実際にやってみると分かると思いますが、大変手間がかかる作業です。

「山で地図を広げてコンパスで調べればよいのでは?」と思うかもしれません。

しかし山はいつも無風で晴天とは限りません。

荒天で心身ともに疲れているようなとき、冷静に地図とコンパスで読図作業を行うのは大変です。

GPSやスマホなどデジタル物の時代ですが、電池切れ、電波状況の悪い状況や地図データ不備があれば、無用の長物です。

安全な登山を願うなら、最悪のことも想定して、その場合はどうやって乗り越えるかを、常に考えておく必要があります。

お客様を引率する登山ガイドや、グループ登山を率いる責任ある立場の人が、このように手間のかかることを実践しているのは、安全性のレベルが格段に高くなるから。

ぜひ、面倒がらずに実践し、習得してみることをおすすめします。
余裕のある登山を実感できると思います。

 

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