トラブル

キツネが媒介するエキノコックス症(症状、予防策)

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人からエサをもらおうとするキタキツネエキノコックスは主にキツネを宿主にする寄生虫です。その卵が何かの拍子に人の口に入ると、エキノコックス症に感染します。

潜伏期間は10年ともいわれ、自覚症状が出たときには手遅れという場合も少なくありません。

外科的に取り除くしか治療方法がなく、感染しないことを第一に考える必要があります。

キタキツネが生息する北海道では、登山や山菜採りだけでなく、自宅の庭や子どもの遊び場など日常生活レベルでも警戒しています。

全国的にも感染が拡大しているともいわれていますから、どの地域の山を登るにしても最低限の知識は持ち合わせておきたいもの。感染しないための対策を中心にご紹介します。

 

1.エキノコックス症って何?

エキノコックスは寄生虫です。

日本におけるエキノコックス症は2つありますが、北海道から感染が拡大し、全国的に脅威を与えているのは多包性エキノコックス症です。

成虫は体長が3~4㎜で、キツネやイヌの腸に寄生しています。成虫が産んだ卵は、キツネやイヌの糞と一緒に排出され、その卵が野ネズミの口の中入ると、孵化して幼虫になります。

自然では「卵が野ネズミの口から体内に入り、肝臓などで幼虫になって留まる。幼虫のいる野ネズミをキツネやイヌが食べて、腸で成虫になる」というサイクルをぐるぐる繰り返します。

ところが、キツネやイヌの糞に混じった卵が何かのきっかけで人の口の中に入ると、野ネズミとのところが人に置き換わり、エキノコックス症に感染することになります。

北海道の風土病といわれてきましたが、東北地方では北海道に次ぐ感染者が確認されていますし、2014年には愛知県で野犬の糞から卵が検出されたことが話題になりました。

飼い犬などの動物の移動に伴って、全国に感染が拡大の兆しがあるともいわれています。将来的には本州でも身近な存在になると考えて差し支えないでしょう。

 

2.症状

エキノコックスの卵が人の体内に入ると、腸内で卵が孵化します。幼虫が肝臓に寄生して、重度の肝機能障害を引き起こします。

潜伏期間は成人の場合で数年から10数年と長期で、感染してから自覚症状が出るまで時間がかかります。

腹部の不快感や膨張感が現れ、肝機能障害に伴うだるさや黄疸等の自覚症状が現れるころには、かなり深刻な状況になっています。

治療法としては外科手術で取り除くしかありませんが、ガンのように脳や肺に転移することもあり、発見が遅れると半年から1年で死に至ることもあります。

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3.感染経路

キツネや犬の糞に混じった卵が口から入ることで感染します。

皮膚に付着しただけでは感染しませんし、人から人、野ネズミから人に感染することもありません。

感染経路としては、卵を含んだ糞で汚染された沢水を直接飲んだり、山菜を洗わず直接口にする。

糞が含まれた土などが風雨にさらされて拡散し、手などについて口に入るなどといったことが考えられます。

北海道の山では登山道でキツネの糞を見かけることはよくありますし、休憩にぴったりの開けた場所では強烈な獣臭がするなど、常にキツネの気配が漂っています。

沢水を飲まなくても、登山靴やザックなどの装備に付着した泥や土にエキノコックスの卵が含まれていることも考えられます。

車の中や玄関で装備についていた泥が舞い上がれば、吸い込んでしまっても不思議はありません。

 

4.予防策

何に気を付けるといいのか、具体的にご紹介します。

①生水を飲まない

浄水器山で生水を直接飲むのはご法度です。必ず煮沸してから飲むようにしてください。

以前、北海道大雪山系を縦走中のツアー登山客が、雪解け水を直接ドリンクボトルに注いで飲んでいるのを見て衝撃を受けたことがあります。

道外からの登山者はエキノコックスの認知度が低いようで、あまりにも無防備な様子に驚くこともしばしばです。

民間の山小屋などなく、水場もないことが多い北海道では、山で水を調達するときは雪解け水や沢、沼の水を飲用にすることになります。

その際は必ず「煮沸」しなければなりません。

エキノコックスの卵は熱に弱く、60~80℃では5分、100℃では1分以内に死滅します。

標高が高くなれば水の沸点は100℃より低くなりますから、グラグラと「沸騰してから5分」と覚えておくといいでしょう。

飛行機には燃料を持ち込むことができません。個人旅行なら山に向かう途中で店に立ち寄るといいでしょう。

ツアー登山の場合は現地到着後すぐに山に移動するため、途中でガスなどの燃料を調達することもできません。

そんなときは、浄水器を持参してろ過するのがいいでしょう。

北海道の水場について知りたい方は、こちらをどうぞ。

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②土に触れたものは洗う

キツネは登山道に糞をすることでマーキングします。

卵は直径0.03ミリと非常に小さいため、肉眼では確認できません。

泥や土に触れたら「エキノコックスの卵が付いているかもしれない」とまず考えることです。

手に土が付いたらすぐに水で洗い流し、絶対に口に入れないようにします。

靴や装備に付いた土や泥は、下山後速やかに洗浄します。

洗剤で洗ったくらいでは容易に死滅しません。煮沸するか、水でしっかり洗い流すようにしましょう。

③接触しない

野生生物には、安易に接触しないようにしましょう。

山では餌をねだることを覚えたキツネやリスなどの野生動物が寄ってくることがあります。

キャンプ地や頂上付近など登山者が多くいる場所では、食べ物をあさりに周辺をうろつくキツネがたくさんいます。

テントのフライの内側に入れていた靴をキツネに持っていかれた。ザックをデポ(ザックを置いて身軽にする)している間に中を荒らされたという話もよく聞きます。

当然ながら、動物(特にキツネ)が触れたものに間接的に触れるのも要注意。キツネがあさったザックを背負うなど、考えただけでもゾッとします。

食べ物の保管に気を付けることで、無用な接触をかなり減らすことができるでしょう。

可愛いからといって近づいたり触ったりしないように、くれぐれもご注意ください。

④山に犬を連れて行かない

キツネと同様、犬も腸の中でエキノコックスの成虫を寄生させます。

日本全国にエキノコックスが感染拡大しつつあるのは、北海道でエキノコックスに感染した犬が道外へ移動したことによるものだといわれています。

そのためか、本州では登山をする人よりも犬を飼っている人のほうがエキノコックス症のことをよく知っているようです。

犬がエキノコックスに感染すれば、糞に含まれた卵によって飼い主が感染することは容易に考えられます。

安易に犬を登山に連れて行かないこと。感染を疑う環境にあった場合は、虫下しで駆虫するようにしましょう。

 

5.感染した?と思ったら

エキノコックス症検査結果エキノコックス症は、血液(血清)検査で早期発見が可能です。

毎年20名近くの患者がみつかる北海道では、各市町村で血液(血清)検査を実施しており、そのほとんどが無料か低料金です。

感染後すぐには分からないことも多いため、5年に1度、定期的に検査することをすすめています。

現在のところ完全に治癒する治療薬は見つかっておらず、手術で取り除くしか根本的な解決法はありません。

早い時期ほど手術が容易で治癒が可能ですが、気付くのが遅くなれば死に至ることもあります。とにかく早期発見、早期治療が重要です。

心配な方は、エキノコックス症の血液検査を受けることをおすすめします。市町村や保健所などに問い合わせてみるといいでしょう。

北海道で感染した疑いのある方は、下記に問い合わせることができます。

社団法人北海道臨床衛生検査技師会立衛生検査所
〒065-0019 札幌市東区北19条東17丁目
TEL  011-786-7072

北海道立衛生研究所
〒060-0819 札幌市北区北19条西12丁目
担当:感染病理科(直通 011-747-2768)
TEL(代表) 011-747-2711

参考:国立感染症研究所ホームページ
北海道庁 保健福祉部健康安全局地域保健課 

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