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【北海道の山】アポイ岳を全方位で楽しむガイド「登山・花・景色・地質」

更新日:

アポイ岳

夏山シーズン到来が遅い北海道の山のなかで、真っ先に登山を楽しめるのが様似町に位置するアポイ岳。

標高わずか810.2m。

気軽に登れる初級コースでありながら、約80種もの高山植物が見られる花の名峰です。

一生に一度は登りたい「アポイ岳」の魅力を紹介します。

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アポイ岳(810.2m)

北海道様似町にあるアポイ岳は、襟裳岬から佐幌岳まで南北に140キロにわたって連なる日高山脈の南端に位置します。

地形が険しく林道を奥深くまで入るのが常の日高山脈にありながら、アポイ岳は海岸線からわずか4キロのところにあり、登山口へのアクセスが容易です。

アポイ岳登山口

この山に登る人の多くは花が目当てです。

見ることができる高山植物の数は約80種

ヒダカソウやアポイアザミなどの固有種は約20種にものぼり、見る花がどれも「ここでしか見ることができない花」なんてことも。

アポイタチツボスミレ

タチツボスミレ

花を観察するために立ち止まり、息を整えるために花を愛でる、ぜいたくな登山が味わえます。

5合目山小屋をすぎると見られるアポイアズマギク

5合目山小屋をすぎると見られるアポイアズマギク

冷涼な気候の北海道といえども、低標高でありながらこれほど豊富な高山植物が生育しているのは、アポイ岳が地球深部のマントルの一部が突きあげられてできた「かんらん岩」が広がる特殊な土壌であることに関係しています。

かんらん岩の登山道

かんらん岩の登山道

一帯の世界でも類を見ない地質や地形が評価されて、2015年にはユネスコの「世界ジオパーク」に認定されました。

 

 アポイ岳の基本データ

アポイ岳登山口

標高 810.2m
山頂までの標準タイム(休憩なし) 登り:2時間35分/下り:2時間

幌満お花畑経由は登り:3時間10分/下り:2時間30分

難易度 初級
水場 なし
トイレ 駐車場に公衆トイレあり

5合目山小屋側に携帯トイレブースあり

山小屋 無人
山開き日程 通年で登山可能なため「山開き」はありません
安全祈願祭 2018年4月14日(土)
問合せ先 様似町役場 商工観光課 0146-36-2120

 

標高は810.2mと低いものの、登山口は標高80m地点にあり、頂上までの累積標高差は800m以上。それなりの装備と体力が必要です。

登山道はしっかりと整備され、道迷いするような個所や危険な場所はありません。

初心者からベテランまで、安心して登山をすることができる山です。

アポイ岳登山道

通年で登ることが可能ですが、トイレブースが設置されて多くの登山者を迎える準備が整うのは、安全祈願祭が開催される4月上旬から。

2018年の安全祈願祭は4月14日(土)に開催されます。

 

 

登山コース概略

アポイ岳

アポイ岳登山道中腹

アポイ岳までの参考ガイドタイムです。

コースは「アポイ岳頂上までのピストン」と、途中から「幌満お花畑を経由」する2つがあります。

アポイ地図

おすすめは頂上までピストンするコースです。

【登り】2:35

登山口    ⇒  5合目山小屋  1:15

5合目山小屋    ⇒  馬の背お花畑  0:40

馬の背お花畑   ⇒  分岐               0:15

分岐               ⇒  アポイ岳         0:25

【登り、幌満お花畑経由】3:10

登山口    ⇒  5合目山小屋    1:15

5合目山小屋    ⇒  馬の背お花畑   0:40

馬の背お花畑   ⇒  分岐               0:15

分岐               ⇒  幌満お花畑      0:30

幌満お花畑    ⇒  アポイ岳     0:30

【下り】2:00

アポイ岳   ⇒ 分岐      0:20

分岐     ⇒ 馬の背お花畑  0:10

馬の背お花畑 ⇒ 5合目山小屋   0:30

5合目山小屋 ⇒ 登山口      1:00

【下り、幌満お花畑経由】2:30

アポイ岳   ⇒ 幌満お花畑   0:20

幌満お花畑  ⇒ 分岐      0:30

分岐     ⇒ 馬の背お花畑  0:10

馬の背お花畑 ⇒ 5合目山小屋  0:30

5合目山小屋 ⇒ 登山口     1:00

※休憩時間は含みません

 

登山口から5合目山小屋までは、木立の中を歩くハイキングコースです。
道幅は広く快適です。

登山口から5合目山小屋までは、木立の中を歩くハイキングコースです

登山開始直後から頂上まで、途切れることなく花が咲いています。

登山開始すぐに広がるエゾオオサクラソウの群落

登山開始からすぐに見られるエゾオオサクラソウの群落

かんらん岩でできた山を実感する登山道。
登山靴で磨かれたかんらん岩がオリーブ色に輝いています。

登山靴で磨かれたかんらん岩

山小屋が見えてくると森林限界に達します。

アポイ岳5合目山小屋

ここから急に視界が開けます。
晴れていれば頂上までの稜線がくっきりと望めるでしょう。

5合目からのアポイ岳

山小屋は風雨をしのぐ程度の建物です。
飲食を提供するような営業小屋ではありませんので注意してください。

アポイ岳5合目山小屋

山小屋そばには簡易トイレブースがあります。
利用する際には携帯トイレセットを持参する必要がありますので、装備に加えておきましょう。

アポイ岳携帯トイレブース

山小屋から馬の背に向かう途中、日高らしい急登が登場します。

日高らしい急登

背後には太平洋に面した美しい海岸線が望めます。

太平洋に面した美しい海岸線

遠くは襟裳岬まで見渡せる絶景続きで、登りの苦労がすぐに報われるのがアポイ岳の魅力のひとつでもあります。

襟裳岬を望む

頂上はダケカンバに囲まれて見晴らしがききません。
すぐ下にはハイマツが広がり、森林限界の植生が上下する「植生の反転」が起きています。

アポイ岳山頂

※画像加工しています

幌満お花畑はかつてヒダカソウの群落があった場所ですが、大規模な盗掘で個体数が減ったうえに、ハイマツなどが入りこんでしまいました。

現在では、ヒダカソウのみならず高山植物はほとんど姿を消しているため、お花畑を期待していくとガッカリすることになるでしょう。

また、幌満お花畑と分岐を結ぶコースは、山腹をトラバースしながらひたすら木立を歩く単調な道です。

ここも高山植物はほとんど見ることができず、お世辞にも楽しいとは言えません。

 

吉田岳(794m)

アポイ岳 吉田岳

吉田岳【左】、アポイ岳【右】

アポイ岳からの参考ガイドタイム:往路50分/復路40分

アポイ岳から隣の吉田岳まで、日高らしさを味わうことができる岩稜状の尾根歩き縦走路がついています。

ほとんどの登山者がアポイ岳止まりで、ここまで足を延ばす人はそういません。
喧騒を離れて静かな時を過ごすことができるでしょう。

天気が良ければ、太平洋と南日高の山岳景色を望む「360°パノラマ」の天空散歩が楽しめます。

日高山脈を北に臨む

やせ尾根のため、強風時は注意が必要です。
疲れているときも決して無理をしないようにしてください。

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アポイ岳の花

サマニユキワリ

サマニユキワリ

アポイ岳の花の時期は5月~9月と長く、ひととおりの高山植物を見るだけでも季節を変えて何度も登らなければなりません。

 5月初旬には、アポイタチツボスミレ、サマニユキワリ、アポイアズマギク、アポイキンバイ、ヒダカソウが咲き始め、中旬にはヒダカイワザクラ、エゾキスミレなどが咲きます。

エゾキスミレ

エゾキスミレ

6月に入るとアポイクワガタ、アポイゼキショウ、エゾタカネニガナ、アポイヤマブキショウマ、7月にはアポイハハコ、アポイアザミ、アポイマンテマと列挙にいとまがないほど。

詳しくはアポイ岳ジオパーク「公式サイト」に掲載されている「アポイ岳の開花カレンダー」を参考にするといいでしょう。

 

花のベストシーズンはいつ?

ヒダカソウ

ヒダカソウ 2018年5月 幌満お花畑

 いつ行ってもハズレがありませんが、強いてベストシーズンを挙げるなら、5月中~下旬の花が一斉に咲き始める時期をおすすめします。

盗掘などにより絶滅に瀕しているヒダカソウは5月上旬が開花シーズンですが、様似町役場に確認したところ、最近では咲いたとしても年に1株か2株だそうです。

株も弱ってきているため、今後も期待できません。
まず見ることはできないと思ったほうがいいでしょう。

 

なぜアポイ岳には花が多い?

かんらん石

アポイ岳は、地下数十キロのマントル層が、ユーラシアプレートと北米プレートの衝突でめくれあがって地上に押し上げられた世界的に珍しい場所。

マントルの上部を作っている岩石が「かんらん石」で、アポイ岳はこの石でできています。

かんらん岩の土壌には、植物の生育を阻害する成分(ニッケルやマグネシウムなど)が多く含まれています。

また、かんらん岩の上には土が薄っすらとしか乗っておらず、乾燥しやすくて栄養も十分にありません。

加えて、海から近くて夏は海霧におおわれるため気温が低く、冬は海からの強風にさらされる厳しい気象条件。

そのため、なかなか植物が茂って森を作ることができません。

高木が生育できず森林を作ることができない限界線を森林限界といい、高山植物は森林限界よりも高いところに生える植物のことをいいます。

アポイ岳の森林限界は標高約375mの5合目山小屋付近で、とても低いところにあります。

標高が低くとも、厳しい環境下のため森が形成できず、高山植物が生育する条件が成立しているのです。

 

 

アポイ岳のトイレ

トイレは駐車場にある公衆トイレのみで、山中にはありません。

5合目山小屋の脇に携帯トイレブースが設置されていますが、テントで囲われたスペースに便座として利用できるイスがあるだけの施設です。

携帯トイレのセットがなくては用を足すことができません。

携帯トイレブース

北海道の主要な山には、このような携帯トイレブースが設置されるケースが増えてきました。

携帯トイレのセットは北海道の山では必需品レベルです。常にザックに入れて持ち歩くようにしましょう。

携帯トイレにはいくつか種類があります。

トイレブースで使用できるのは便座に腰掛けて使うタイプですので、購入するときは注意しましょう。

 

北海道の山のトイレ事情について、こちらに詳しく書いています。

トムラウシ山 南沼キャンプ指定地 トイレブース
北海道の山のトイレ事情

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アポイ岳ジオパークビジターセンター

アポイ岳ジオパークビジターセンター

登山口手前にある駐車場脇に、2013年に開館したアポイ岳ジオパークビジターセンターがあります。

日高山脈が形成されるCG映像やジオラマ、かんらん岩についての説明などの展示物が、コンパクトにまとめられています。

知識があると、登山での気づきも多くなり、面白さに奥行きがでます。

高山植物やヒグマに関する情報の提供や、様似町の観光情報も教えてもらうことができます。

地質や地形にあまり興味がない人でも、登山の前日や下山後に立ち寄ってみるといいでしょう。

開館期間 4月~11月
休館日 無休
開館時間 9時~17時
入館料 無料
所在地 北海道様似郡様似町字平宇479番地の7
問合せ 0146-36-3601

 

アポイ岳が掲載されているガイドブックはこちらがおすすめです。

 

参考:北海道夏山ガイド「日高山脈の山々」北海道新聞社
アポイ岳ジオパーク「公式サイト」

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